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R・マドリー対バレンシア――ハイレベルな“知略戦”の勝負を分けたのは?【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2020年06月23日

マドリーは少しの隙も見せなかった

 バレンシアは、次第に攻め急ぎ始める。後半に入って60分、交代で2人を投入し、攻撃にギアを入れた。強力に攻めてこない敵に対し、隙が出たか。ケビン・ガメイロが敵陣に入って右サイドでボールを受けるも、バックパスを相手に渡してしまう。全体が前がかりになっていたところ、マドリーに千載一遇の機会を与えてしまった。

 マドリーは、瞬殺のカウンターを発動させている。アザールが敵陣をドリブルで持ち込み、モドリッチとのワンツーで抜け出し、カリム・ベンゼマにラストパス。ベンゼマはそれを流し込み、先制に成功した。カウンターの精度と決定力で、バレンシアを凌駕。一瞬の出来事だった。そして3点目も、バレンシアがシュートに迫った場面で奪い返し、裏返しにするカウンターでダメを押した。

 マドリーは、“いいサッカー”をしていたわけではないが、戦略に忠実だった。そして少しの隙も見せていない。サッカーは90分間の勝負だ。
 
 もっとも、勝負を制したのは持ち駒の差か。マドリーは、ベンゼマが決定力を見せた。そして途中から入ったマルコ・アセンシオの技量は見事だった。右ではなく、左に攻撃軸を作り、アザール、ヴィニシウス・ジュニオールが相手を脅かす…。

「私の麾下選手たちが“ゾーンに入ったら”、それを封じるのは難しい」

 ジダンの言葉である。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。

 
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