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R・マドリー対バレンシア――ハイレベルな“知略戦”の勝負を分けたのは?【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2020年06月23日

バレンシアが戦況的には優位だった

緻密な駆け引きが繰り広げられたマドリー対バレンシアの一戦。(C) Getty Images

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 トッププロ同士の戦いは、お互いが豊富な情報を集め、知略を尽くし、勝利をつかもうとする。戦いの基本がなければ、後れを取る。その遅れは、水準の高い勝負では致命傷になるだろう。

 ラ・リーガ第29節、レアル・マドリーとバレンシアが対戦している。知略が凝縮されていた。一つのきっかけで、潮目が変わった――。

マドリードは、攻防の主戦場を右に置いていた。バレンシアの攻撃を徹底的に研究。敵を「左からサイドバックのホセ・ルイス・ガヤが攻撃に厚みを持たせることで、チームを旋回させている」と見抜き、そこに守備拠点を作ったのだ。

 マドリードのジネディーヌ・ジダン監督は、本来センターハーフ、インサイドハーフのフェデリコ・バルベルデを右サイドに配置。攻撃の時は、インサイドを取って、右サイドバックのダニエル・カルバハルを上がらせる形が多かったが、守備ではまずガヤに立ちはだかり、踏み越えられたら挟み込んでいる。結果、バレンシアの攻撃を30分過ぎまで、完全に封じ込めていた。
 
 一方、バレンシアもアルベルト・セラーデス監督が、マドリーの戦い方を研究していた。マドリーはリアクション戦術で、相手を引きこんでミスを誘い、カウンターに強さがある。そこで前線からプレッシャーをかけるのではなく、ブロックを作り、ラインの間で包囲殲滅し、逆にカウンターで脅かす戦い方を採用。これが功を奏し、戦況的には優位だった。

 マドリーは、右サイドにバルベルデを置いたことによって、守備は厚みを増したが、攻撃に回った時のアイデアには乏しかった。コンビネーションと技術を使った、変化のある攻撃が仕掛けられない。皮肉なことにボールを持たされたことによって、カウンターは不発。結果としてミドルシュートが多くなって、攻めあぐねていた。

 33分、バレンシアはこの日、初めて高い位置でボールを受けたガヤが、得意の左足でクロスを送る。これはブロックされたが、こぼれを再び拾ったガヤが、カルロス・ソレールへ。ソレールは狙いすましたパスを通し、ロドリゴが合わせて先制した…はずだった。しかしVARによって、オフサイドで取り消されてしまう。

 この一つのプレーが分岐点になった。
 
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