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失点に絡む失態も「俺がやらなければ」という思いから【ファルカン・ジャパンの“10番”岩本輝雄の栄光と苦悩の記憶|LAST EP】

カテゴリ:連載・コラム

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年06月16日

「辛いことのほうが多かったかな、代表は」

02年は仙台でハイパフォーマンスを披露。代表復帰の可能性もあったが、怪我などもあり実現しなかった。(C)SOCCER DIGEST

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「結局、俺のサイドからやられた。左サイドからえぐられて……」

 失点に絡んでしまった。痛恨だった。今さら“たら・れば”の話をしてもしょうがないが、相手のアーリークロスに柱谷が競りに行った時、そこに加わらなければ、その後の展開で違う対応ができたかもしれない。あのセンタリングもブロックできたかもしれない。

 しかし、それも後講釈でしかない。件のシーンで、苦手としているヘディングで柱谷に加勢したのも、「俺がやらなければ」という思いからだった。

 その後、日本は井原のスーパーミドルで同点に追いつくが、終了間際にその井原がPKを献上。これをファン・ソンホンに沈められ、2-3で敗れ去った。

 目標としていた優勝はおろか、ベスト4にも進めず、ファルカンは解任。「残念だったし、自分を見出してくれたファルカンには申し訳ないし、悔しさもいっぱいある」とアジア大会を総括するテルにとっても、激戦となった韓国戦が代表でのラストマッチになった。
 
「激動だったよね。94年は。現役としてのキャリアは4年目だけど、プロとしては1年目で、いろんな面で勝手が分からず、探り探りというか。代表も、最初はもう勢いでやるしかなかった。いいこともたくさんあったけど、辛いことのほうが多かったかな、代表は」

 わずか7か月の短命に終わったファルカン・ジャパンとともに、前だけを見据えて駆け抜けようとした。前途洋々な20代前半、端正なルックスも相まって、高まる注目度と期待度をひしひしと感じていた。

「まだ若かったからね。調子に乗っていたつもりはないんだけど、もしかしたら浮足立っていたのかもしれない」

 歳を重ねた今なら、周囲の様々な評価にも「そう思っているなら、それでいいんじゃない。メディアもそれが仕事だし。別に気にならないよ」と言える。だが、特にアジア大会の時は、そんな余裕はなかった。かかる期待に押しつぶされそうになった。

 ファルカン・ジャパン以後、テルは日の丸と無縁になった。「あの後、良い選手がいっぱい出てきたからね」。ただ、まったくチャンスがないわけではなかった。

「02年の時かな。J1で、ベガルタで活躍していて。声がかかりそうな雰囲気はあったけど、数か月後にはワールドカップが始まるとかで、具体的な話に発展しなかった。時間が足りなかったんだろうね。あと、ジーコが監督になった時も『どう?』みたいなのはあった。でも、その時は肉離れしていて、結局ダメだった」
 
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