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失点に絡む失態も「俺がやらなければ」という思いから【ファルカン・ジャパンの“10番”岩本輝雄の栄光と苦悩の記憶|LAST EP】

カテゴリ:連載・コラム

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年06月16日

「球際はなるべく激しく行こうとは思った」

韓国との一戦では、たしかに失点に絡んだが、際どいシュートやFKなど見せ場も作った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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【前回までのあらすじ】
 10月のアジア大会、“新10番”岩本輝雄は、本来の実力を発揮できずに苦しんでいた。ミャンマーとのグループリーグ最終戦では初のスタメン落ち。「出たら、結果を出す。それしか頭になかった」と神経を研ぎ澄ませ、途中出場から意地のゴールを叩き込み、“復活”の兆しを見せていたが……。

――◆――◆――

<ラストエピソード>
 決勝トーナメント準々決勝、運命の韓国戦。ミャンマー戦でゴールを挙げたテルだが、スタメンには返り咲けなかった。試合は30分にカズの得点で幸先良く先制したが、51分にユ・サンチョルに決められて1-1に。一進一退の攻防が続いていた68分、日本の背番号10が投入される。

「韓国は強いけど、やるしかなかった。韓国とのライバル関係とか、深く考えていなかった。無我夢中だった」

 気合い十分。初っ端からアクセル全開。ファーストプレーは、中盤でのルーズボールに勢いよく飛び込んだ。“闘う姿勢が見えない”といった批判を意識したわけではなかっただろうが、UAE戦やカタール戦に比べて、球際でバチバチとやり合う場面が目立った。

「いや、そうでもしないとボールが奪えないから。球際はなるべく激しく行こうとは思った」
 
 攻撃でも守備でも、目の前のボールに、とにかく食らいつく。俺がなんとかする――そんな強い意志が随所に見られた。73分、自らが蹴ったCKのこぼれ球に素早く反応し、際どいシュートを放つ。その数分後、前園真聖の果敢な仕掛けが相手のファウルを誘い、好位置でFKのチャンスを得ると、誰よりも先にそのポイントに陣取り、両手を腰に当ててプレー再開を待つ。“蹴るのは俺だ”と言わんばかりに。ボールがセットされると、テル、カズ、柱谷哲二がその周りを囲う。「どうする?」と聞かれた。「俺が蹴ります」と譲らなかった。

「得意な位置だったから」

 カズが蹴る振りをした直後、狙いを定めて左足をコンパクトに振る。GKの好守に阻まれたが、チームを活気づけ、相手を慌てさせる一発だった。

 要所でプレーに絡み、存在感を発揮していたが、そのエネルギッシュなプレーが、ある意味、裏目に出てしまった。

 77分、右サイドからアーリークロスを放り込まれる。柱谷が弾き返そうと前に出る。そこにテルも加わったが、ふたりとも競り負けて倒れ込む。ボールはまだ韓国側がキープしている。すぐに立ち上がったテルは、懸命に戻った。今度は左サイド。井原正巳が立ち塞がるが、1対2の数的不利の状況で突破を許す。センタリングを入れられる瞬間、テルは右足を伸ばしたが間に合わず、ゴール前で待ち構えていたファン・ソンホンに決められてしまった。
 
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