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「今回が一番嬉しい」と漏らした長友佑都。なぜロシア行きは格別だったのか?【W杯アジア最終予選を突破した日】

カテゴリ:連載・コラム

佐藤俊

2020年05月17日

「理想論だけ語っていても世界じゃ勝てないと分かった」

様々な想いを抱えて臨んでいたロシア大会予選。長友は「今回が一番嬉しい」と喜びを露わにした。写真:田中研治

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 だが、長友は、なんとしても代表に生き残り、ロシア・ワールドカップに出場しなければならない理由があった。それは「ブラジル・ワールドカップの惨敗」があったからだ。

「自分たちのサッカーと言っていたんですけど、理想論だけ語っていても世界じゃ勝てないと分かった」

 世界で勝つことの難しさ、世界と戦うことの厳しさを改めて痛感させられた。このままで終われない。南アフリカ・ワールドカップ以上の結果をロシアで実現したい。その強い思いが、代表でプレーするという長友のモチベーションを支えた。

 オーストラリア戦では1点を先制した後、珍しく長友がサポーターを煽るシーンがあった。アドレナリンが出過ぎて、気が付いたら煽っていたということだが、過去2大会、経験がある選手でも、そのくらいの興奮状態にあったということは、それだけの大きな何かを背負いつつ、この予選の難しさを感じていたからであり、ここで決めたいという強い思いがあったからだろう。

 多くの困難を乗り越えての最終予選突破は長友にとって大きな財産になった。だが、ロシア行きを決めたとしても1年後、代表メンバーに入れるかどうか分からない。そんな危機感を試合後にポロっとこぼしていた。

 それでも長友は自信満々のように見えた。

 日々の体幹トレーニングや食事が間違っていないことは試合での自分のプレーで確認できていた。それを続けることでもっと進化できると思っていたからだ。実際、疲れ知らずの運動量と躍動感溢れるプレーは、20歳の井手口以上のものを感じさせた。

 また、本田たちとともに「もう一度、ワールドカップのピッチに立とう。ブラジルの悔しさをロシアで晴らそう」と話をしていた。

「ブラジルではクソみたいなプレーだったんで、あんな思いはしたくない。あの悔しさを晴らすのはワールドカップで活躍する以外にない」

 ガムシャラにプレーした南アフリカ、仲間とともに世界を目指したブラジル、そして下の世代に追われる中で存在感を示したロシア・ワールドカップのアジア最終予選。いろんな逆風を乗り越えて、長友は、選手としてさらに逞しくなり、ロシアへのチケットを獲得した。

 それゆえの“格別さ”だったのだろう

 そして、長友は1年後、ロシアでブラジルの借りをしっかりと返すことになる。

取材・文●佐藤 俊(スポーツライター)
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