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香川、岡崎、稲本、中田…イングランドでプレーした歴代日本人選手のリアル評は? 英国人記者に訊く【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

松澤浩三

2020年05月05日

もっと日本で称えられるべき日本人

吉田(3番)と岡崎(右)はともに数字以上のインパクトを残した。 (C) Getty Images

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 同じシンジでも、しっかりと完全にすべてをやり切ったうえで英国を去ったのは、レスターで活躍した岡崎慎司だ。

 2015年の夏にイングランド中部の街にやってきたFWは、エースのジェイミー・ヴァーディーの相棒として1年目からレギュラーに定着。快進撃を続けた「ミラクルレスター」の一翼を担い、“奇跡の優勝”に大きく貢献した。

 1年目のプレミアリーグにおける成績は、36試合出場で5ゴール。FWとしては物足りない数字かもしれないが、前線からのプレッシングは効果的で、攻守の繋ぎ役としての貢献度は非常に高かった。また、豊富な運動量でピッチを駆け回り、常に全力のプレーを見せる姿を見せ、彼はサポーターの間で、瞬く間に“カルトヒーロー”となった。

 その後も3シーズンにわたってレスターに在籍した岡崎。世代交代を図るチームで出場機会がめっきり減ったラストシーズン(18-19)を除いて、ピッチに立つチャンスを与えられた際には、常に自分の存在価値を証明し、居場所を確保し続けた。

 レスター・サポーターでなくとも、元選手の解説者や玄人好みのサッカーファンの「お気に入り」になることも少なくなかった日本人FWは、この国で十分なインパクトを残したうえで、念願のスペインへと旅立っていったのである(2部への移籍は誤算だったかもしれないが……)。

 岡崎同じく、ドイツのマインツで結果を残して、プレミア参戦を果たしたのが、現在もニューカッスルに所属する武藤嘉紀だ。

 だが、1年目の昨シーズンに17試合で1得点、迎えた今シーズンも怪我で出遅れた影響もあって出場機会は限定され、まるで実力を発揮できていない。いまだ2年の契約を残すが、夏の移籍は既定路線だろう。
 

 武藤の前に英国の地を離れていった吉田麻也も印象深い日本人選手だ。7年半を過ごしたサウサンプトンでは通算194試合(うちリーグ戦は154試合)に出場して、プレミアリーグでプレーした日本人選手の出場試合数では断トツだ。

 彼は、レギュラーだった1年目を除いて、ほぼ毎シーズンのように強力なライバルとの競争を強いられた。

 EURO2016を制したポルトガル代表でもレギュラー格だったジョゼ・フォンテ(現リール)にはじまり、クロアチア代表のデヤン・ロブレン(現リバプール)、ベルギー代表のディフェンスリーダーでもあるトビー・アルデルワイレルド(現トッテナム)、そして今や「世界最高のCB」と称されるフィルジル・ファン・ダイク(現リバプール)など、錚々たる顔ぶれだ。

 吉田は彼らほどの能力はなかったかもしれない。だからこそ、サウサンプトンからステップアップすることはなかったと言えるし、英国での最初の数シーズンでは不用意なミスも目立ち、不要論があがったことも少なくなかった。

 しかし、主に3番手としての立ち位置ながら、腐ることなくチームに貢献し続けた日本代表主将のプロフェッショナリズムを目の当たりにして、セインツのキャリアの後半には、「ヨシを使え」とファンから待望論が出ることもあった。

 DFという地味なポジションということもあり、イングランドではあまり知られていないかもしれない。だが、日本人CBが世界最高峰の舞台でも戦えることを証明した吉田の功績は、母国で称えられるべきである。
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