【岩本輝雄】あの“伝説のFK”をプレーバック。「助走した時に前を見たら…」

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2020年04月22日

「直接狙う。頭の中はそれしかなかった」

指揮官交代で先発落ち――特大の悔しさが、それまで主力として戦ってきたプライドが、あの伝説のFKを生み出したとも。(C)SOCCER DIGEST

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 前半はベンチで悶々としていたけど、後半の頭から途中出場。その10分後、FKのチャンスが訪れる。ゴールまで約40メートル。CKで言えば、ファーサイドのゴールネットぐらいかな。普通は狙わない距離だけど、味方に合わせるとか、そんな考えは一切なかったね。ボールの側に立っていたシルビーニョからは「どうする?」的なことを聞かれたけど、ほとんど無視(笑)。ゴールしか見ていない。「いや、打つよ」とか「俺が蹴るって言ったら、蹴るんだよ」とか言いながら、助走を取った。

 直接狙う。頭の中はそれしかなかった。迷いなし。バックステップしながら前方を確認。壁は2枚だけど、まさか打ってくるとは思っていなかったんだろうね。その2枚の壁は割れていて、隙間ができていた。

 狙うならここだ。駆け引きはいらない。カーブをかけたとしても、この距離だとおそらく失速する。枠に飛んでも、ゴールライン手前で相手GKにパンチングされるのがオチ。後半から出た自分と、そしてチームを勢いづけるためにも、思い切りぶち込むだけ。

 だからといって、力いっぱい蹴ったわけではない。インステップで軽く。フルスイングしているように見えるけど、コンパクトなキックを心がけた。力はそんなに入れていない。ただ、身体の体重がすべてボールに乗るようにとは意識した。力任せに蹴るだけだと、上に行っちゃうからね。うまくミートできたと思う。
 
 結果的に、向かってゴールの右側に決まったけど、そんなコースは狙っていない。GKの位置とかもまったく考えていなかった。ゴールに向かって一直線。ストレート。そうしたら良い具合にホップして、グンと伸びてくれた。

 むしろあの距離を逆手に取った感じだよね。小細工しないでしっかりと蹴れれば、あの距離だとボールはどっちかにブレると思った。そういう計算もあった。

 改めてあのFKを振り返ると、まさしく“神が降りてきた”っていう風にも思う。目に見えない力が背中を押してくれたような気もする。誰かに押し出されるような感じだね。
 
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