アジアカップ2015

【アジアカップ】沈黙の3分に秘めた長友佑都の想い

カテゴリ:日本代表

寺野典子

2015年01月23日

語らないことで生まれる変化を探して――。

2011年のカタール・アジアカップでは優勝に大きく貢献。長友自身も大会直後に、チェゼーナからインテルへと電撃移籍を果たした。 (C)SOCCER DIGEST

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 長友が質問に即答できなかったのは、彼の誠実さの表われのように思えた。とても簡単に答えられるような内容ではなかったからだ。もちろん、上手く帳尻を合わせて答えることも可能だっただろう。しかし、彼にはできなかった。
 
 今大会に入って以降、テレビの取材は受けても、いわゆる新聞や雑誌など活字媒体の取材に応じることがなかった。「長友選手!」と声をかけられても、柔らかい表情で頭を下げ、足を止めることなくバスに乗り込む。そんな姿から、今大会に賭ける彼の想いの強さを感じていた。
 
 これまでは「有言実行」というタイプだった。語ることで覚悟を決め、自身を追いつめ、夢や目標を実現してきた。
 
 しかし、今は少し違うように思う。
 
 語らないことで生まれる変化を探しているのかもしれない。まだ、語れる”なにか”が定まらないのかもしれない。そして、アジアカップのタイトルを手にした時に、初めて新しい一歩を踏み出せると考えているのかもしれない。同じ「優勝」でも、その意味は彼自身の中で4年前とは違うはずだ。
 
「明日の決勝戦に勝って、サムライとしての刀を手に入れたい」
 
 4年前のアジアカップ決勝を前に、そう話していた長友は、優勝を決めた後には「まだまだこの刀は細くて、折れやすい」というコメントを残している。前回大会のタイトルは世界へ出ていくための「自信」となった。今の長友にとって、アジアカップを手にすることはどんな意味を持つのだろうか。
 
 その答えは、長友にも分からないのかもしれない。だからこそ、それを手にしなければならないだろう。優勝カップの重みとそこへ至るまでの激闘が、次の扉を開く鍵になるのは間違いないのだから。

取材・文:寺野典子
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