長谷部不在で物足りない場面も
そして今季、フランクフルトは、リーグ12位とやや低迷気味だが、DFBポカールで準決勝に進出、ヨーロッパリーグではベスト16まで勝ち残っている。ブンデスリーガを含めて過密日程が続くだけに、昨季の失敗を繰り返さないためには、対戦相手によって選手起用を調整できるだけの選手層がチームに備わることだ。今度こそ、3つの大会をうまく乗り切ることができるかが、試されている。
現在までに前半戦で主力だった選手の多くが、後半戦はベンチに座っているという現状は、チーム力が昨季よりも底上げされた証明だろう。4バックシステムも浸透し、試合中に3バックへの変更も可能になり、前線の組み合わせも確実にバリエーションが増えている。
アンカーのポジションに関しても同様だ。例えば、ザルツブルクとの第2レグでは、1月の移籍市場でRBライプツィヒから獲得したシュテファン・イルザンカーが起用された。ヒュッター監督は、「彼の持つ情熱、積極的に戦いを挑んでいくメンタリティーがチームに必要だった」と起用理由を語った。試合でイルザンカーは競り合いの強さを発揮し、相手の猛攻を跳ね返していく大事な力となった。
ただ、イルザンカーだとビルドアップの局面で手詰まりになることが多く、攻撃への展開という点で物足りなさが残るのも確かだ。第22節ドルトムント戦では、相手のハイプレスを前に攻撃の糸口を見つけることができないまま押し切られてしまった。
現在までに前半戦で主力だった選手の多くが、後半戦はベンチに座っているという現状は、チーム力が昨季よりも底上げされた証明だろう。4バックシステムも浸透し、試合中に3バックへの変更も可能になり、前線の組み合わせも確実にバリエーションが増えている。
アンカーのポジションに関しても同様だ。例えば、ザルツブルクとの第2レグでは、1月の移籍市場でRBライプツィヒから獲得したシュテファン・イルザンカーが起用された。ヒュッター監督は、「彼の持つ情熱、積極的に戦いを挑んでいくメンタリティーがチームに必要だった」と起用理由を語った。試合でイルザンカーは競り合いの強さを発揮し、相手の猛攻を跳ね返していく大事な力となった。
ただ、イルザンカーだとビルドアップの局面で手詰まりになることが多く、攻撃への展開という点で物足りなさが残るのも確かだ。第22節ドルトムント戦では、相手のハイプレスを前に攻撃の糸口を見つけることができないまま押し切られてしまった。
こうした時に長谷部の存在が重要になってくる。ザルツブルクとの第1レグはまさに狙い通りの活躍を見せてくれた。前から奪いにくる相手の狙いを外し、ボールを動かし、攻撃にリズムを加えていく。守備でも経験に裏打ちされた適切なポジショニングで相手のカウンターを次々に遮断した。
今後はカップ戦では勝ち残りを目指し、リーグでは残留を早い段階で抜け出すことが目標になってくる。だが、新型コロナウィルスの影響でリーグは中断し、すべてのリーグ戦が無観客で催行される可能性も否定できない状況になってきた。
前代未聞の事態だからこそ、チームにおけるベテランの存在は重要になってくる。今以上に、最前線で戦い続ける長谷部の力が必要になるときが訪れるはずだ。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかのきちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中