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「1ミリも対抗できなかった」エース岩渕真奈も認めた完敗…なでしこJに渦巻く失望感のもとは何なのか?【現地発】

カテゴリ:Jリーグ

早草紀子

2020年03月06日

残り4か月の間に、ピッチ上での舵取り役を生み出さねばならない

前半終了間際に同点弾を放った岩渕。しかし、後半はスペインに突き放された。写真:早草紀子

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「相手の上手さもあって、プレッシャーに各個人がビビッてたのは絶対にあるし、自分たちで自信を失っていた」とは岩渕。1対1のフィジカル差を縮めるには限界がある。高倉麻子監督は就任当初からそこを認めつつも、「かといってそこを諦めることもしたくない」とフィジカル差を甘受することはしないと覚悟を決めていた。

 フィジカルと並行してより強みとなるもの、つまり判断力や予測力を磨き上げようと、ここまでやってきたはずだ。しかし、前半はレベルアップを目指したフィジカルはもとより、その劣勢を覆す判断力も予測力も見ることは出来なかった。

 確かに後半から相手のホットゾーンのカギを握るアンカーのトレシージャを岩渕で抑え込むという手段は効いたのだろう。岩渕に足かせをハメながらも、相手の布陣が変わったとはいえ、途中交代の田中美南(INAC神戸レオネッサ)や籾木結花(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)が好機を作ったことを考えれば、ここにもひとつ活路が潜んでいそうだ。

 ただし、適材適所とタイミングを間違っては、自滅しかねない。全体の流れをしっかりと把握し、どの時間帯で誰をどう動かすのか、残り4か月の間に、ピッチ上での舵取り役を生み出さねばならない。ピッチ上に絶対的な舵取りが存在すれば、想定と異なる展開に陥った際、チームをひとつの方向に導くことはできるだろう。試合前日まで選手たちはことあるごとに戦術理解について時間を割いているように見えた。それが不十分だったのか、ポジションを超えたものに浸透していなかったのか――。

「試合に関してどれだけの選手がどれだけ準備をしていたかと言われたら、チーム全体として準備不足だった感は否めない」
 自戒の念も込められた岩渕のこぼした言葉は重い。

取材・文●早草紀子
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