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拳銃、逮捕、レンガ積み、娘の心停止…オサスナで大ブレイクした“チミー”アビラの知られざる壮絶なキャリア【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2020年03月04日

「働き口を見つけるよりもピストルを手に入れるほうが簡単なんだ」

 サッカーから離れた2年間、チミーはダンボールの運搬やレンガ積みなどの肉体労働に励んだ。生活は苦しかったが、しかし、彼にとって労働をすることは犯罪に手を染めない一種の予防策でもあった。チミーは振り返る。

「父親も祖父も同じ仕事をしていた。僕が生まれた地区では、働き口を見つけるよりもピストルを手に入れるほうが簡単なんだ」

 こうして懸命に働き続けたチミーだが、娘が無事回復し退院する際に、費用を全額支払うことができなかった。その時に手を差し伸べたのがアルゼンチン・プロフットボールの選手労働組合で、金額の一部を負担した。

 そして2015年2月にチミーは名門サン・ロレンソに入団。フットボールに専念する環境を手に入れると、そこからはとんとん拍子で、2017年夏にラ・リーガ2部のウエスカに移籍。クラブの1部初昇格にも貢献した2シーズンのパフォーマンスが評価されて昨夏、オサスナにステップアップすると、瞬く間にエル・サダールの人気者になった。

 チミーはしかし成功を収めても、自らの原点を忘れることはない。

「ファンの声援は本当に励みになる。でも僕の一番の活力源は、娘の存在だ。彼女と一緒にどんな料理を食べるのかを考えるのが日々のモチベーションになっている。僕は限界まで力を出し尽くすことを常にモットーにしている。それが娘やファンにもっとも伝えたいメッセージでもあるんだ」
 
 この冬の移籍市場でオサスナでの大活躍でラ・リーガを代表するストライカーの評価を得たチミーを巡ってバルセロナなど複数のクラブが獲得に動いていると報じられていたが、怪我によってそうした話も全て白紙になった。

 戦列復帰までには4か月から6か月要する見通しだ。しかしあくまで前向きなチミーはこう宣言する。

「僕のキャリアの中でも大きなターニングポイントだ。これから厳しい毎日が待っているけど、これも人生に訪れる試練の1つに過ぎない。みんなの愛情と声援には感謝の言葉しかない。きっと怪我する以前の状態よりもさらにパワーアップして戻ってくるよ」

文●ホン・リバス(エル・パイス紙バスク地方のクラブ担当)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 
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