１年間、２種年代のトップレベルで戦ってきたチームと、県リーグで戦ってきたチームの違い。目に見えない経験値の差もある。選手たちも青森山田の強さを実感。須藤が「クロスボールへの迫力はあったし、セットプレーは本当に強かった」と話したように、相手はどうすれば勝てるかを知っていた。

　だが、全てが通用しなかった訳ではない。相手のプレースピードに慣れた後半はテンポの良いパス回しから好機を何度も作れた。引かずに真っ向勝負を挑んだからこその結果で、来年のチームに繋がるのは間違いない。

　史上初めてベスト８へ勝ち進んだ昌平。この経験値をいかに次の世代へ繋げるか。幸いにも須藤をはじめ４人の選手がまだ２年生で、途中から出場した篠田大輝も１年生。加えて、来年は１年生に世代別代表を経験した選手が複数入り、プリンスリーグ関東でも戦える。

「選手権の悔しさはこのステージに立たないと分からない。準々決勝に来たからこそ悔しさが倍増すると思うので、次につながる」とは指揮官の言葉。藤島監督は選手権で敗れた体験をチームにどう落とし込むのか。埼玉の技巧派集団は青森山田戦の敗北を無駄にしない。

取材・文●松尾祐希（フリーライター）

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