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客寄せパンダではなく“第4の男”として――リバプールはなぜ南野拓実を獲得したのか?【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

松澤浩三

2019年12月24日

リバプールが南野に注目し始めたのは――

敵地アンフィールドで鮮烈なボレーを決めた南野。そのプレーには目の肥えたレッズ・サポーターも賛辞を送っていた。 (C) Getty Images

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 そこから時計の針を10か月進めた2019年10月2日。舞台はチャンピオンズ・リーグ(CL)のグループステージと変わり、ザルツブルクは王者リバプールの本拠地アンフィールドに乗り込んでいた。

 夏の間に監督交代があった影響もあり、南野はチームの主軸として地位を固めていた。試合に目を向けると、国内リーグでは負け知らずのオーストリアの雄とはいえ、欧州屈指の力を誇るリバプールを前に流石に苦戦。前半は1-3と圧倒され続けた。ハーフタイムには、プレスルームで出会ったオーストリア人記者に、「ミナミノについて書くべきことが見当たらない」と愚痴ったほどだった。

 その記者は苦笑しながら、「ジェシー・マーシュ監督に代わって以来、タクミのフィニッシュとチャンスメークには磨きがかかった。チーム内での存在感は大きく増しているんだけどね」と教えてくれた。

 そして迎えた後半。すべてを吹っ切って、ピッチへ飛び出してきたザルツブルクの選手たちは、見違えるようなパフォーマンスを披露する。その中心にいたのが、24歳のサムライだった。

 南野は、56分に、左サイドから上がったクロスをペナルティーエリア内に走りこんで、ダイレクトボレー。完璧に芯で捉えたシュートをネットに突き刺さし、チーム、そしてスタンドにいるザルツブルク・ファンの士気を高める。さらに4分後には、19歳の怪童FWアーリング・ハーランドのゴールをアシストして、一時は試合を振り出しに戻した。

 最終的には3-4で惜敗したとはいえ、南野のパフォーマンスはコップ(熱狂的なリバプール・サポーターの総称)だけでなく、ユルゲン・クロップ監督を含めたリバプール関係者に特大なインパクトを残した。

 この時点から、英国屈指の名門クラブが、彼に注目し始めたのは確かで、スポーツ・ディレクターのマイケル・エドワードが率いるリクルートメントチームが獲得を模索し始めたのは、10月下旬から11月だとされている。その過程で、南野のザルツブルクとの契約には、「契約解除金が725万ポンド(約10億1500万円)」という項目が含まれていたことが判明したという。
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