有力視された3バックだが、コロンビア戦ではデメリットばかり。今後は4-2-3-1を熟成させていくべき
4-2-3-1へのプラン変更は、日本の実状を考えれば理に適っている。明らかに最もタレントが豊富なのは2列目で、単純に1人増えるだけでも安定性が増し、両サイドバック(SB)も攻撃に絡めるようになった。前半で退いた上田も、すっかり孤立しボールも収めきれず苦い想いをしたが、コパ・アメリカでは再三決定機に絡んだことを考えれば、終盤のフォーメーションなら別の顔を見せられたかもしれない。だからこそ本来なら最適の戦術で、前田との順応性の比較も検証しておきたかった。
今まではセンターバック(CB)候補が多く、逆にSBが人材難なことから、五輪は3バックを有力視してきたが、コロンビア戦ではデメリットばかりが溢れた。ボランチから展開ができず、両サイドも後手に回り、1トップは消された。もちろん五輪本番では、複数の戦術を使えるに越したことはないが、18人という枠や残り時間を考えれば、4-2-3-1に絞り込み、熟成させていくしかなさそうだ。そう考えれば、右で橋岡大樹と競うことになる菅原由勢、途中交代で左SBを務めた原輝綺ともに、サバイバルの可能性を残した。
幸か不幸か、東京五輪に欧州クラブの主力級が参加してくるとは考え難いから、過去の大会に比べれば大幅なレベルダウンの可能性もある。おそらく南米代表が優勝候補となるから、コロンビア戦はターゲットとの距離を確認する意味でも貴重な試金石となった。ただし欧州クラブの主力を呼び難いのは日本も変わらない。これだけ弱点が浮き彫りになった以上、今後は技術委員会の欧州各クラブとの交渉が生命線となりそうだ。
文●加部 究(スポーツライター)