山形らしさを取り戻せた30分間。J1参入プレーオフを勝ち切る鍵はそこにある

カテゴリ:Jリーグ

嶋 守生

2019年11月15日

「勝った試合もあったけど、満足できる出来は勝負がかかった10試合の中でも少なかったと思う」

 今年のモンテディオ山形のスタイルは、3-4-2-1で選手個々の距離をコンパクトに保ちながら、機を見て前線から連動してプレッシャーを掛けていく守備がベースにある。相手の追い込み方からセカンドボールの回収方法まで試合ごとに細かく設定され、そのプランを完遂するために全員が運動量を増やして戦えるのも強みだ。

 そこにピッチ幅を広く使ったサイドアタックやショートカウンター、セットプレーといった攻撃が上積みされるが、一番のスタイルと言えば、全員でのハードワークによる守備となる。

 しかし、39節・水戸戦までの数試合はその運動量も減少傾向にあり、守備で勝負を分ける球際で競り負ける場面も多くなっていた。元々、粘り強く戦って1点差勝負を取っていくチーム。局面で競り勝つだけの運動量の少なさと球際の弱さの差が、シーズン前半戦と後半戦の結果の差に、特に上位チームとの対戦結果に表われていたとも言えるだろう。

「それをやれている時はいいゲームになるし、やれていない時は相手に主導権を渡してしまう。ここ何試合か、それが見られないことが多かった。勝った試合もあったけど、満足できる出来は勝負がかかった10試合の中でも少なかったと思う」と木山監督。

 しかし、あの長崎戦の前半は、今年一番良かったシーズン前半戦の頃の山形らしさを取り戻せた30分間でもあった。

 この山形らしいスタイルを、残り試合からプレーオフ終了まで徹底すること。それができれば、プレーオフを戦い抜くだけの大きな武器になるはずだ。

冒頭に挙げた上位との対戦成績をシーズン前半戦で置き換えると、5勝2分1敗と勝率はかなり高い。山形には接戦を競り勝ってきただけの実績もある。そうやって今年取り組んできたことを出し切って戦えれば、勝ち上がるだけの地力も十分にあるはずだ。

「今まで積み重ねてきたものをいかにピッチで表現できるか。それが出来ているときは自然と結果もついてきているので、自信を持って続けていきたい」(山田拓巳)

 追い込まれながらも、今の山形はやるべきことがはっきりしている。残り2試合だけでなく、プレーオフに進んでも迷いなく戦い、勝ち抜くだけの道筋もある。

 山形らしく、積み重ねてきたものを出し切るだけだ。

取材・文●嶋 守生(フリーライター)
【関連記事】
「山形でルーニーとベッカムを発見!」90秒間で超ロング弾2発が生まれた“J2珍事”に英メディアも驚愕!
韓国メディア、宿敵の4連勝に対し自国代表の現状に不満!? 一方で日本の新ユニホームに「軍服を思わせる」との見方も
【W杯アジア予選全結果】西野タイはチャナティップの先制弾もマレーシア相手に初黒星。韓国は2戦連続0-0ドロー
「まさにクラック」「クラブ最高のFWだ」引退発表のビジャ、古巣バレンシアが投稿した衝撃50メートル弾にファン歓喜!
U-22日本代表の橋岡大樹が堂安律との散歩姿を投稿!握手を求められたファンからの“つらすぎる”一言は…

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ