J2残留の安堵をかき消した首里城焼失のショック…FC琉球が今、できること

カテゴリ:Jリーグ

仲本兼進

2019年11月01日

「ベンガラの誇り高き琉球」というフレーズの意味

「ベンガラの誇り高き琉球」の横断幕。ベンガラとは首里城正殿の壁面の鮮やかな朱色のこと。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 沖縄の歴史・文化を象徴する城。それが首里城である。琉球王国(琉球國)が成立する前、沖縄本島は「北山・中山・南山」と三分されて対立する三山時代というのがあり、中山王だった尚巴志が三山統一を果たした1429年、中山の本拠地だった首里城が琉球王国の中心地となった。

 首里城は王宮であるとともに行政機関の「首里王府」の本部としての役割を担った。また城の周辺では芸能や音楽、美術・工芸が盛んに行なわれ、文化芸術の中心地となった。港町の那覇を見下ろす場所に建ち、軍事面でも恵まれた立地。湧き水が豊富で沖縄の酒・泡盛も数多く作られた。そしてその泡盛の売上げを強盗から守るべく各酒造所はこぞって用心棒を雇い武人が首里に集結。腕を磨いたその場所は沖縄空手発祥の地ともされている。

 廃藩置県により名前が沖縄県となるまでの約450年間、独立国家として琉球王国は存在していた。その中で首里城は、栄華を誇った琉球王国の存在を示す上で唯一無二のアイデンティティが詰まった場所であるのだ。
 
 FC琉球の応援チャントには「ベンガラの誇り高き琉球」というフレーズがある。ベンガラとは首里城正殿の壁面を彩った美しい朱色のことで琉球伝統色、または琉球血色とも言われている。その色はFC琉球が誕生した2003年からチームカラーとして存在し受け継がれている。その礎でもあった首里城が今回被災に遭った。沖縄県民にとって自然となっていた心の拠り所を一瞬にして失ったショックはとても大きい。

「今俺たちができることは何なのか」。樋口監督は当日のトレーニングが行なわれる直前まで自問自答した。首里城を沖縄の誇りとして認識し、知人が訪れた際は自ら首里城を案内することもあった。沖縄県民が今受けている心の喪失感は痛いほど感じ取っている。そして、ひとつの答えを出した。
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