ブルガリア側は「イングランドの過剰反応」とも…
だが、この問題の波紋は広がり続けている。
試合後の会見で、ブルガリアの代表監督クラシミール・バラコフは「そんなもの(チャント)は耳にした記憶がない。本当に起きたことであれば申し訳ないが、イングランドのサポーターは、ブルガリアの国歌斉唱中に指笛を吹くなど敬意を欠いていた。本当ならば、お互いに同じことをしていたと言わざるを得ない」と発言。
また、同国代表GKブラメン・イリエフも「我々のファンはうまくやっていた。イングランドの選手たちは過剰反応したと思う。そんな悪い言葉は聞こえなかった」と語るなど、驚くべき発言をしているのだ。
イングランド側は改めて怒りを露わにし、イングランドサッカー協会(FA)も本格的な抗議に乗り出すとしている。
欧州(UEFA)の会長アレクサンダー・セフェリンも「フットボールはファミリーの競技である。人種差別主義者とは徹底的に戦う」と表明し、ブルガリアへの処分を検討しているとコメント。国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長も「サッカーの試合で人種差別を行なった人物は、スタジアムに出入りさせるべきではない」と語ったという。
非難の声は上がりながらも、収束しないスタジアムでの人種差別行為問題。だが、毅然とした態度で向き合うほかなく、今回のイングランド代表の行動が、悲しい行為の撲滅というかたちで報われることを願うばかりだ。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部