結果に怒りをにじませて…指揮官の采配に振り回される吉田麻也の現在地

カテゴリ:海外日本人

田嶋コウスケ

2019年09月24日

4枚でも3枚でも「僕自身はどっちでも問題ない」(吉田)

ボーンマス戦は3失点のサウサンプトン。吉田がいないと、最終ラインはとたんにバタバタしてしまい……。(C)Getty Images

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 しかも、4バックシステムの完成度が低く、混乱に拍車をかけている。慣れ親しんだ3バックから4バックに切り替えると、途端に攻守両面で脆さや拙さが目立つようになる。


 振り返ると、昨季のサウサンプトンを支えたのは3バックシステムだった。陣形の重心を後方に置き、前線から激しくプレッシングを仕掛ける。そうすることで、守備は安定して攻撃も鋭さが増した。選手たちも、この3バックシステムに手応えを掴んでいた。


 その中心にいたのが吉田だった。危機察知力とカバーの巧さを生かして最終ラインを統率。クレバーな吉田が真ん中に陣取ることで、両脇にいるヴェステルゴーとベドナレクも思い切りのよい守備ができていた。4バックにして吉田がいなくなると、ヴェステルゴーとベドナレクはバタバタしはじめる。


 現状、吉田を最後尾に配した3バックが最も安定感があるのに、指揮官は4バックとの併用にこだわる。ボーンマス戦の試合前、その狙いを次のように説明していた。


「これまで3バックで大金星を挙げてきたのは事実だが、我われには柔軟性がある。フレキシブルに戦えることが、おそらく現時点でこのチーム最大の強みだろう。対戦相手の出方次第で、我々はフォーメーションを自在に使い分けることができるのだ。プレミアのクラブは複数の戦術を用いているのだから、我々も柔軟性を持って戦う必要がある。よりフレキシブルに戦える集団こそが優れたチーム。それが私の持論だ」

 優れた戦術家として知られるハーゼンヒュットル監督の狙いとするところはよく分かる。だが現状、チームは複数のシステムを使い分けられる領域にはまだ達していない。なにより、サウサンプトンは試験的に4バックを採用するほど余裕がなく、ピッチ上にいる選手も明らかに混乱している。このままでは、昨季と同じように残留争いに巻き込まれるだろう。


 吉田はボーンマス戦後、堰を切ったように話した。


「もう監督と話すしかないですね。もう話さないと、誰も答えを導き出せないところにきている。(監督と)話します。(前節で)勝っていて、クリーンシートをして、変える必要性がないだろうと。


(自分としては)4バックはもちろん慣れているし、5バック(=実質的な3バック)でも自分の良さを生かせると思っている。僕自身はどっちでも問題ないです。問題は、『僕が』というよりは、(CBの位置で)誰とやるかということです。そっちのほうが大事です。(記者:自分のプレーを変えたり、調整したりするということ?)そう。どっちがやりやすくて、どっちがやりづらいということはないです」


 次節の相手は、ハリー・ケインやソン・フンミンら強力なアタッカーを擁するトッテナム。ボーンマス戦の惨敗を受け、3バックに戻して吉田を先発に復帰させる可能性が高いと見るが、はたして指揮官はどんな決断を下すか。


取材・文●田嶋コウスケ

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