結果に怒りをにじませて…指揮官の采配に振り回される吉田麻也の現在地

カテゴリ:海外日本人

田嶋コウスケ

2019年09月24日

頻繁なシステム変更で選手たちは混乱?

ボーンマス戦はベンチに控えたままだったサウサンプトンの吉田。チームは1-3の完敗を喫し、吉田は試合後に「もう監督と話すしかないですね」と語った。(C)Getty Images

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「言うことないですよ。(敗戦は)ジョークでしょ」
 

 取材エリアに姿を見せたサウサンプトンの吉田麻也は、開口一番でそう語った。


 9月20日に行なわれたプレミアリーグ第6節のボーンマス戦。ベンチスタートの日本代表DFは最後まで出番がなく、試合終了のホイッスルをベンチで聞いた。チームは1-3で敗戦。試合後の吉田は結果に怒りをにじませ、先発を外れたことにもまったく納得がいっていない様子だった。


 筆者も、この試合で吉田が先発すると踏んでいた。前節のシェフィールド・ユナイテッド戦(14日)で3バックのCB中央として先発し、堅実な守備で1-0の無失点勝利に貢献していたからだ。「勝っているチームはいじらない」との格言もあるし、なによりサウサンプトンはこうした勢いにすがりたいほど調子が良くない。


 ところが、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督は、前節の勝因になった3バックシステムをあっさりと捨て、ここまで機能しているとは言い難い4バックシステムに切り替えた。指揮官の狙いはまったく機能せず、ホームゲームながら1-3の完敗を喫した。


 しかも、ディフェンス陣がミスを連発し失点の山を築いた。1失点目はCK時にマークを簡単に外し、2失点目も左サイドをきれいに崩された。そんな彼らの混乱ぶりを象徴していたのが、後半アディショナルタイムに喫した3失点目だ。相手GKのロングボールに、GKアンガス・ガンとDFヤン・ベドナレクがお見合いして衝突……。こぼれたボールを敵に拾われ、無人のゴールに決められた。


 失点後、あまりにお粗末なゴールにサウサンプトンのサポーターは一斉に席を立った。間もなくして試合終了のホイッスルが鳴ると、スタンドからむなしいほど小さなブーイングが鳴り響いた。怒りを露わにするというより、ブーイングをする気にもなれないほどの失望と無力感に襲われているようだった。


 それだけに、吉田の苛立ちは理解できた。前節はアウェイゲームながらシェフィールド・Uを無失点に抑え、貴重な勝点3を獲得した。先発した吉田は最終ラインを統率してクリーンシートを達成し、チームを勝利に導いた。DFとして最高の結果を掴んだのだから、迎える今節もスターティングメンバーに名を連ね、今季初のリーグ連勝を目指すと考えるのは至極当然のことだった。

 ところが、ハーゼンヒュットル監督は、すでに触れたように、今季から積極的に採用している4バックシステムに切り替え、吉田を先発メンバーから外した。吉田はリーグ6試合で4度目となるベンチスタートを命じられたのだ。


 ハーゼンヒュットル監督がCBとして継続起用しているのは、27歳のデンマーク代表DFヤニク・ヴェステルゴーと、23歳のポーランド代表DFベドナレクのふたり。4バック採用時には両者を不動のCBとして起用しており、3バックに変更すると、このふたりに吉田をCB中央の位置に加えるのが基本型だ。ただし、ここまで4バックでスタートする試合が増えているため、吉田が先発から外れる試合が多い。


 チームとしての最大の問題点は、この4バックと3バックのシステムを頻繁に入れ替えることで、選手たちが混乱していることにある。


 例えば、ボーンマス戦も①4バックでスタート②機能しないことから前半途中で3バックに変更③2失点したことで後半立ち上がりから4バックに再変更と、1試合の中で目まぐるしく並びを変えた。臨機応変に対応していると言えば聞こえはよいが、むしろ目立ったのはチームの低パフォーマンスで、結果として3つのゴールを許して敗れた。まさに「策士策に溺れる」の印象だ。


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