ペップのスタイルをメンタル面でも体現
感じ取れたのは、チームを牽引する男の覚悟だ。前節のノーリッジ戦に2-3のスコアで敗れ、首位リバプールに5ポイントの差をつけられていた。背番号17は、小さくない危機を覚えていたはずだ。このワトフォード戦では勝点3はもちろん、勝点1の取りこぼしさえ絶対に許されない。鬼気迫る表情からは、そんな決意が読み取れた。
勝利をほぼ手中に収め、スタジアム全体に祭りのような空気が漂うなかで見せた試合終盤の激走は、相手チームへのリスペクトであると同時に、9点目を望むファンの期待に応えるためでもあったはずだ。
試合後、グアルディオラ監督はこう振り返っている。
勝利をほぼ手中に収め、スタジアム全体に祭りのような空気が漂うなかで見せた試合終盤の激走は、相手チームへのリスペクトであると同時に、9点目を望むファンの期待に応えるためでもあったはずだ。
試合後、グアルディオラ監督はこう振り返っている。
「われわれは観客のためにプレーしているんだ。5-0で勝っているからといって、走らなくなるような姿は見せたくない。その意味では、最後まで本気でプレーしてくれた。特別なことは何もしていない。それこそが最高のプレーさ」
内容と結果を求めるペップのスタイルを、戦術の面においてだけでなく、メンタルの面においても体現していたのがデ・ブルイネだった。
試合終了のホイッスルが鳴り、一人、また一人と選手がドレッシングルームに引き上げていくなか、最後までピッチに残り、ファンの声援に両手を挙げて応えていたデ・ブルイネの姿が、いまも目に焼き付いている。
取材・文●加藤紀幸(ワールドサッカーダイジェスト編集部)