騒動は国歌の間違えだけにとどまらず…
しかし問題は、これだけではなかった。
事の重大さに恐縮したフランス側は、直ちに「マックス」の愛称で知られる場内アナウンサーが、事態の説明の意味を込めて、スタジアム内に謝罪を行なった。ところが、これがまずかった。なんと同アナウンサーは、「アルメニアの皆さまに陳謝します」と口走ってしまったのだ。
これで二度も赤っ恥をかいてしまったフランス。試合では915本もの華麗なパスを繋いで4-1で圧勝したものの、直後の記者会見に現れたディディエ・デシャン監督は、真剣な顔つきで謝罪の意を表した。
「私自身もアルバニアのベンチ陣とレヤ監督に謝罪した。フランス・サッカー連盟のノエル・ルグラエット会長もスタンドのほうで謝罪した。起きてはならないことだったが、残念ながら起きてしまった。アルバニア人の立場はよく理解できる。最初はアルバニア人の口笛がなぜなのか分からなかったが、こんなときに自分の国歌をあくまでも待つのは当然だ。私はここでもう一度謝罪する」
事の重大さに恐縮したフランス側は、直ちに「マックス」の愛称で知られる場内アナウンサーが、事態の説明の意味を込めて、スタジアム内に謝罪を行なった。ところが、これがまずかった。なんと同アナウンサーは、「アルメニアの皆さまに陳謝します」と口走ってしまったのだ。
これで二度も赤っ恥をかいてしまったフランス。試合では915本もの華麗なパスを繋いで4-1で圧勝したものの、直後の記者会見に現れたディディエ・デシャン監督は、真剣な顔つきで謝罪の意を表した。
「私自身もアルバニアのベンチ陣とレヤ監督に謝罪した。フランス・サッカー連盟のノエル・ルグラエット会長もスタンドのほうで謝罪した。起きてはならないことだったが、残念ながら起きてしまった。アルバニア人の立場はよく理解できる。最初はアルバニア人の口笛がなぜなのか分からなかったが、こんなときに自分の国歌をあくまでも待つのは当然だ。私はここでもう一度謝罪する」
一方のアルバニア側は、フランスの誠意ある謝罪をしっかりと受け止めた様子だ。レヤ監督が「オーガナイズに欠如があったが、いい終わり方で良かった」と理解を示せば、ある選手は次のように心境を明かしている。
「自分たちの国歌じゃないものを聞いたときは本当に驚いた。自分たちの国歌が流れないうちはプレーなんかできないと思った。でもこれは起こりうるミスだ。これまで僕たちが経験したことはなかったけど、人為的なミスだと思う。試合前にちょっと確認さえしておけば避けられただろうけどね。でも観衆が、僕たちの国歌が流れている間、拍手してくれたのを見た。美しい行動だったと思う」
国歌の間違えは、前代未聞とまでは言い切れないものがある。というのは、過去に何度か起きているからだ。最近でいえば、2016年のコパ・アメリカで、ウルグアイの国歌斉唱時にチリ国歌が流れたことが記憶に新しい。
とはいえ、7日の夜にフランス国民が肝を冷やしたのは、間違いない事実だろう。『L’EQUIPE』は8日の記事内で、「バルカン諸国の平和のためにも、セルビア国歌が流れなくてよかった」と自嘲気味のジョークを綴ったが、内心、彼らも本気でホッとしていたことだろう。
取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI