【コラム】3つの顔を持つ男、グアルディオラが挑み続ける「未知なるチャレンジ」

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2019年08月29日

金満クラブだからといって、お金でアイデアは買えない

ペップの下で大きく成長した選手は少なくない。B・シウバもそのひとりだ。(C)Getty Images

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 グアルディオラのフットボールで注目すべきはその中身だ。リズミカルに次々とボールを回すために、選手たちが何を判断し、どう動いて、相手の守備網に綻びを生み出そうとしているのか。迅速にボールを回収するために、どう協力して連動した守備組織を構築しているのか。キーワードはイニシアチブ、ハードワーク、ディシプリン、ハーモニー、そしてコンプロミソ(責任感)だ。そう、彼のフットボールはピッチ上の全ての選手が主役を演じてこそ、その独自性を発揮するのである。

 シティは金満クラブだから、好き放題に有力選手を獲得できる。よくそんな意見を耳にする。しかしお金でアイデアは買えない。しかもその使い方は千差万別だ。
 
 プレミアリーグ連覇が懸かった昨シーズン最終節のブライトン戦(シティが4-1で勝利)で、グアルディオラは、MFにベルナルド・シウバ、イルカイ・ギュンドアン、ダビド・シルバを並べ、3トップにリャド・マハレズ、セルヒオ・アグエロ、ラヒーム・スターリングを配置。中盤から前線にかけて180センチに満たない小柄な選手を多く起用した。

 そこにグアルディオラの強いこだわりが見え隠れする。しかも彼らの中には、シティ入団当時はメンタルが弱かったり、プロ意識に欠けていたり、プレーが雑だったりとそれぞれ課題を抱えていた者もいる。それがグアルディオラの下でプレーすることで自信と安心感を得て、ピッチ上で幼少時代に夢見たであろうフットボールを思うがままに体現しているのだ。

 このレベルのフットボールをすることが不可能だとは言わない。しかし正直なところ、私はグアルディオラがバルサで実現していたフットボールはリオネル・メッシという唯一無二の“チャージャー”を搭載していたからこそ成り立っているのだと考えていた。美しいフットボールを散発的に見せることはできても、それを継続して行なうにはチーム全員がリスクを恐れず、チャレンジする信念を持ち続けなければならない。

 しかも昨今のフットボールは、プラグマティズム(実用主義)、攻守のバランス、セットプレー、フィジカルの強靭さといった守備重視のコンセプトが横行している。そうした固定観念を覆して自らが信じるアイデアを浸透させ、さらに日々アップデートして相手の対策を上回っていくには、包括的かつ多面的な視点の持ち主でなければとてもではないがやり遂げることはできない。

 チームのマインドを同じベクトルに向かわせて、クラブのカルチャーに自らのアイデアを植え付ける。しかもシティは、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リバプールといったプレミアの覇権を争う他のライバルクラブのような歴史や伝統を持ち合わせてはいない。つまりグアルディオラはシティにおいて精神的にも組織的にも何も基盤がないなかで、新たなものを創造するという「伝道者」としての役割を果たしているのだ。
 
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