試行錯誤の連続は見方を変えれば、海外移籍への挑戦にも似た戦いに
指揮官の手腕が問われるのは、敵地開催、しかも格上の難敵揃いの状況を、選手たちにどこまでポジティブに捉えさせるかだが、この点については、圧倒的に不利な条件で臨んだアジア大会(決勝進出)などで立証済みだ。確かにほぼ初顔合わせで練習時間が短く経験値が不足したチームは、素の力で勝負するしかない。おそらく監督以下スタッフもフォーメーションも含め試行錯誤の連続になる。ただしこれだけ悪条件が重なる状況で戦えれば、地元開催の東京五輪へ向けて大きな財産になる。
見方を変えれば、それは海外移籍への挑戦にも似ている。初対面で場合によっては言葉もまったく通じない仲間の前で、自分が何者なのかを証明する。そこで信頼されて初めてパスが来て、出場機会を得る。コパは久保建英に限らず、多くのメンバーにとって格好のチャレンジやレッスンの場になるはずである。
文●加部 究(スポーツライター)
文●加部 究(スポーツライター)