おそらくそれは、CLの権威の低下というよりも、プレミアリーグの隆盛を物語るものだ。ジョゼップ・グアルディオラが統率するマンチェスター・シティの後塵を拝したのは──リバプールはたったの１ポイント差だ──、恥ずべきことではないし、クオリティーの低さの証でもない。

　実際、両者ともタフな行程を経て決勝までたどり着いた。リバプールはパリ・サンジェルマン、ナポリ、レッドスターと同居したグループを２位通過した後、バイエルン、ポルト、バルセロナを下した。準決勝は第１レグで３点を先行された後、第２戦で４点を返して、奇跡的な逆転突破を果たしている。

　トッテナムはインテル、バルセロナ、PSVとのグループでいきなり２連敗を喫する厳しいスタートに。そこから３節にPSVと２-２で引き分け、４節の再戦では残り12分まで０-１とリードされて敗退の危機に瀕しながら、ハリー・ケインの２得点で逆転勝利。続くインテル戦を１-０、最終節のバルセロナ戦を１-１で引き分け、２位に滑り込んだ。決勝トーナメントではドルトムントに完勝した後、マンチェスター・シティとアヤックスをこれ以上ないほどに劇的な形で倒したのだった。
 

　トッテナムは長い間、重要な試合を制すだけのメンタルタフネスが足りないと批判されてきた。だが今季はシティとの準々決勝をアウェーゴール差でモノにし（最終盤にセルヒオ・アグエロのゴールが決まった時は万事休したかに思われたが、VARで取り消された）、アヤックスとの準決勝では３点を先行されながら、ルーカスのハットトリックで再びアウェーゴール差の逆転勝利を収めている。

　つまり、精神的な脆さを指摘されてきた両チームが、今季はそれを覆してCL決勝にたどり着いたのだ。決着がつくとき、どちらかがそれを完全に克服したと讃えられ、もうひとつのチームはやはり脆弱だったと批判されることになる。

　多くの面で、この決勝は「姿勢」が試されることになると、私は考える。またとないこの機会に、勇気と自信をより強く示すのはどちらか。