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日の目を見なかったレンタル生活から大エースへ! ハリー・ケインの知られざるキャプテンシー【現地発】

カテゴリ:メガクラブ

松澤浩三

2019年05月30日

レンタル生活では結果を残せず

ミルウォール(写真)やレイトンなどの下部リーグのクラブをレンタルで転々。当時、ケインがリーグを代表する点取り屋になると誰が予想しただろうか。 (C) Getty Images

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 今ではクラブと代表でワールドクラスの選手となった25歳だが、過去数シーズンの成長ぶりは、まさしく飛躍的だったと言える。

 トッテナムで大成し始める前の2011年から13年にかけてケインは、レイトン・オリエントとミルウォール、レスター(当時)といった下部リーグのクラブや、プレミアリーグの小クラブであるノーリッジでの武者修行を繰り返したが、いずれのクラブにおいても特筆すべき数字を残せなかった。

 しかし、トッテナムに戻った2013-14シーズンの終盤、ストライカーが揃って不振に陥っていたチーム状況を受け、当時の監督であったティム・シャーウッドがケインを抜擢。先発起用されると、3試合連続ゴールを決めるなど、突如として頭角を現わしたのである。以来、ケインはトッテナムのタリスマン(お守り)的存在となり、エースとして君臨し続けている。

 偶然にも筆者は、昨秋にケインの育ったロンドン郊外の街、チングフォードに引っ越してきた。以前に住んでいたハックニーはアーセナル色が強かったが、ここでは打って変わって、周りはトッテナム・ファンばかりである。
 
 以前の現地紙のインタビューで、ケインが「家族はスパーズ・ファンばかりで、実家はホワイトハートレーンから15分の場所にある。スパーズのサポーターになるのは、必然だった」と話していたが、それも納得だ。近所の郵便局に直筆サイン入り写真が飾られるなど、この地でケインは、「郷土の誇り」として尊敬されている。

 今年1月に負傷して1か月間も戦列を離れた際に、“ケイン不要説”というと少し乱暴な言い方だが、そのような考えを持つ識者がいたのも確かだ。

 彼の欠場中はソン・フンミンが大活躍をして穴を埋めた。4月に開催されたCL準々決勝のマンチェスター・シティとの2試合でも出色のパフォーマンスを披露した韓国代表FWの存在により、ケイン不在の影響は最小限に食い止められていた。

 そのため一部マスコミはケイン不在時におけるトッテナムの勝率の高さを強調。さらに英紙『The Guardian』のバリー・グレンデニング記者は、自身が出演するラジオ番組で、「もし、莫大の資金を叩いて欧州のビッグクラブが獲得に動いたら、足首の怪我が慢性化しつつあるケインの売却も選択肢の一つに加えることも“あり”だと思う」と持論を展開した。
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