攻守に課題が噴出 完敗したR・マドリー戦が映し出すリバプールの厳しい現実

カテゴリ:メガクラブ

田嶋コウスケ

2014年10月23日

バロテッリという両刃の剣を抱えながら…

なにもできないまま前半でベンチに下げられたバロテッリ。スアレスの代役をこなせているとはとても言い難い。 (C) Getty Images

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 一方で、攻撃も機能しなかった。
 現在リーグ5位と波に乗り切れないチームの「戦犯」として、非難を一身に浴びているのが新加入のマリオ・バロテッリである。
 
 もともと運動量の多い選手ではないが、ここまでわずか1ゴールと結果を出せていないこともあり、英メディアは「歩いているだけ」と辛辣だ。たしかに、パスワークにうまく絡めず、フィニッシュの精度も高くない。周囲との呼吸が合わず、両手を広げて「なぜここにパスを出さない?」とアピールする場面も目立つ。抜群のキープ力で局面打開を図り、シュートやアシスト、ワンツー、フリーランで違いを生み出したルイス・スアレスとは、実に対照的なプレーぶりである。
 
 それだけに、R・マドリーとのビッグマッチは汚名返上の絶好の機会だった。しかし、バロテッリの見せ場といえば、右サイドに飛び出し、クロスボールからジョー・アレンのシュートにつなげた43分の場面くらい。献身的な動きで周りを活かそうとする努力は見せたものの、後半のラインナップにその姿はなかった。
 
 ちなみに、前半終了のホイッスルが鳴ると、バロテッリはR・マドリーのペペとユニホームを交換するという愚を犯してもいる。報道によれば、ロジャース監督はなんらかの処分を下す意向のようだが、それよりもサポーターの心証を悪くしたのが気がかりである。
 
 高い位置からプレスをかけ、スアレスに預けてアクションを起こすのが、昨シーズンまでのリバプールが最も得意とする攻撃パターンだった。その大エースをバルセロナに放出した今シーズンは、ここまで明確な攻撃の形を見出せていない。バロテッリという両刃の剣を抱えながら、ロジャース監督はそれを作り上げることができるのか。
 
 発展途上のリバプールに、前回王者の壁は高すぎた。「(R・マドリーが)ボールを支配しただけでなく、攻守両面で試合を支配した」とは『スカイ・スポーツ』の試合評だ。枠内シュートがR・マドリーの7本に対し、リバプールはたったの2本。苦戦を物語るなによりのデータだろう。
 
 5シーズンぶりにCLに復帰したレッズ(リバプールの愛称)は、久しぶりのこの大舞台で、欧州最高峰との力の差をまざまざと見せつけられた。
 
取材・文:田嶋康輔
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