比較するのはナンセンス!? 「ドリブルデザイナー」に訊いたメッシとマラドーナの違い

カテゴリ:ワールド

羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

2019年05月17日

より野性的なマラドーナの世紀のゴールは何が凄い?

メッシのドリブルを「異次元」と表現した岡部の見るマラドーナの凄みとは? 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 次にマラドーナに関して分析してもらった。このレジェンドは一体何が凄いのか――。いわくメッシとの大きな違いは、その「野性味」にあるという。

「相手により身体をぶつけに行っていると思います。メッシってドリブルの時にあんまり腕を振り回さないんですよね。ここぞって時はちょっと使ったりしますけど。でも、マラドーナは腕をぶんぶん振り回していくんです。あと、加速する時に微妙にボール離しても、スピードと身体の強さがあるから奪われない。だからより野性的ですね」

 マラドーナを語るうえで、やはり欠かせないのが、世紀の5人抜きドリブルだろう。

 1986年6月22日、エスタディオ・アステカを舞台に行なわれたメキシコ・ワールドカップ準々決勝のイングランド戦。その55分だった。

 その4分前に“神の手”でゴールを決めていたマラドーナに観衆の視線が一心に注がれるなか、ハーフウェーライン付近で敵陣を背にボールを受けた10番は、くるりとターンをしてドリブルを開始。そして、ピーター・ベアーズリー、ピーター・リード、テリー・ブッチャー、テリー・フェンウィックの4人を抜き去って、最後に相手守護神のピーター・シルトンもかわして、ゴール右隅にシュートを蹴り込んだのである。

 約60メートルもの距離を単独で突破したこの5人抜きゴールに世界中が酔いしれ、今もなお、伝説として語り継がれている。
 
 マラドーナの声価を高め、そして世界に知らしめた世紀のゴールを幼少期にビデオが擦り切れるほどに見たという岡部は、「ボールを持った時の角度が絶妙なんです。あとメッシと似ていて2つの選択肢を相手に抱かせている。だけど、より強引に行けるのはマラドーナですかね」と分析した。

 では、ナンセンスなのは承知で、あえて訊いてみた。

「この二人の天才のどちらのドリブルが優れているのか」

 さしもの岡部も、「比べるのは難しい」と、答えに窮した。

 アルゼンチンが生んだクラッキ二人が、異なったタイプのドリブラーだということは、よく分かった。ただ、優劣をつけるのは……。やはり、永遠に答えの出ないテーマなのだろう。

【プロフィール】
岡部将和(ドリブルデザイナー)
1983年神奈川県生まれ。Fリーグ出身のドリブル専門の指導者(ドリブルデザイナー)。誰でも抜けるドリブル理論を持ち、YouTubeをはじめ様々なSNS上で配信する。ドリブル動画閲覧数は約1億PV。国内はもちろんアジア、ヨーロッパ、南米と世界各国からアクセスされ、現在は全国各地でドリブルスクール開催中。また、サッカー界を代表する選手(日本代表選手たち)に個別で独自のドリブル理論を指導している。さらに、ロナウジーニョ、本田圭佑、ジーコ、マテラッツィ、アドリアーノ、デルピエロ、ピルロなど世界のスター選手とのコラボレーションを果たしている。著書に『ドリブルデザイン 「99%抜けるドリブル理論」』がある。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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