4-4-2への変更は、選手がやりやすくするための初期配置だった
見方を変えれば、それまでの攻撃が効いていたからこそ、このゴールが生まれたともいえる。長沢がゴールを決めた時に、FWが開き、2列目が位置を入れ替えて縦関係を作った。後方も2次攻撃に備えるポジションをとっており、G大阪の守備陣は人数が揃っていてもそれを捕まえきれないくらい振り回されていた。この動きは、それまでのフォーメーションでも試みていたこと。4−4−2への変更は、現在の選手たちがそれをやりやすくするための初期配置だった。
渡邉監督は「いい立ち位置を取り、ボールを動かし、相手を動かす」ことを仙台スタイルの基調にしている。初期フォーメーションが変わっても、その原則は変わらない。4−4−2への変化は、時計の針を2016年以前に戻したのではない。2019年の時点で立ち位置を取り、ボールや相手を動かすために最適なスタート位置へ改善した。後退ではなく、前進である。
取材・文●板垣晴朗(フリーライター)