アルゼンチン戦から診断 ドゥンガ再任でブラジル代表はどう生まれ変わったのか?

カテゴリ:ワールド

平安山良太

2014年10月12日

ネイマール依存症は依然として…。

アルゼンチンから2ゴールを奪ったタルデッリ。裏を狙う動きも秀逸だった。 (C) Getty Images

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ブラジルW杯出場メンバー以外で目立った選手は?
 
 まずは、なんと言っても全2得点を挙げたタルデッリだ。ゴールというもっとも重要な結果を出したことはもちろん、裏を狙って相手のディフェンスラインを下げたり、中盤まで下りてきて組み立てに参加したりと、内容も良かった。
 
 29歳と若くはないが、ジエゴ・コスタのスペイン代表入りが惜しまれるほどFWは人材難が深刻だっただけに、タルデッリの活躍は朗報だろう。「W杯での唯一の仕事は開幕戦で誤審を誘ったことだけ」などと揶揄され、大バッシングを浴びたフレッジとは、それこそ雲泥の差だ。
 
 左SBのフィリペも好印象を残した。リオネル・メッシやアンヘル・ディ・マリア、セルヒオ・アグエロとったアルゼンチンの世界的アタッカーに対して一歩も引かず、攻撃にも積極的に参加。惜しいシュートも放ってみせた。
 
 身体能力の高さを見せたGKジェフェルソン(W杯は控えで出番がなかった)は、メッシのPKを止めるというこの試合のターニングポイントとなった大仕事をやってのけた。緊張のせいかもしれないが、何度かあったキャッチミスをなくせば、守護神を任せられるだろう。
 
改善すべき課題は?
 
 ブラジル人の国民的気質として、そもそも組織的守備が苦手なうえに、新体制が発足して間もないこともあり、守備組織にはやはり改善の余地がある。
 ブラジルの指導現場にいて日々実感するのが、組織的守備の戦術練習の必要性だ。ブラジル人の場合、日本人を指導するよりも多くの時間を割かなければならないと感じている。
 
 2006年から10年の第一次政権で組織的守備を植え付けたドゥンガが、2015年6~7月のコパ・アメリカやロシア・ワールドカップ予選のスタートまでに、守備をどこまで整備できるか。お手並み拝見といったところだ。
 
 攻撃面では、ハイプレスを上手くいなすことができず、組み立ての精度が落ちる点。引いた相手に対して、個の力で打開できるのがネイマールだけで、エース依存症が基本的に解消されていない点が課題として指摘できるだろう。
 
 アルゼンチン戦ではともに数分間の出場にとどまったカカ(サンパウロ)やロビーニョ(サントス)の復活、あるいは新たなタレントの台頭が待たれる。
 
文:平安山良太(へんざん・りょうた/コリンチャンス育成コーチ)

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