現在は怪我で別メニュー調整のため、屋内からその様子を眺めていても選手たちの意欲が伝わって来るという。また、居残り練習は別の効果も生んでおり、コミュニケーションを活性化させる場になっている。

　こうした変化が良好な雰囲気を生んでいる一方で、エスナイデル前監督が残した文化も現在のチームを形成する上で欠かせない。佐藤がもっとも感じているのはサッカー選手としての在り方だ。
 
「プロとしてどうあるべきか。サッカーに毎日の生活を捧げなさいというような意識。若い選手にとってはピッチとは別で良かった」

　今でも食事面は前監督の考えを踏襲している。選手たちはクラブハウスで朝食と昼食を摂っており、栄養バランスを考えたメニューでフィジカル面を強化。また、練習前に朝食が設けられている点もプラスだ。選手たちは食事後に時間を割けるため、一人ひとりが最高の準備をしてその日のトレーニングに取り組めている。

　エスナイデル前監督のメソッドと江尻新監督のスタイル――。ふたつの考えが合わさり、千葉は新たな道を歩もうとしている。すぐに結果は出ないかもしれないが、佐藤勇は反転攻勢を目論む。
 
「夏には上を意識できるところに近づきたい」とは“千葉のバンディエラ”の言葉。11年ぶりのJ１復帰を目指し、まずは地道に足場を固めていく。

取材・文●松尾祐希（サッカーダイジェストWEB編集部）