【日本代表インタビュー】FC東京 森重真人「私的アンカー論」

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2014年10月07日

「2ボランチの時は前に出てボールを奪いに行くチャレンジが必要だった」

――ヒントになりそうなのが、ベネズエラ戦の38分のシーン(POINT 2を参照)。吉田選手のパスを受けた柴崎選手が、すかさず前線に縦パス。そして大迫選手が落としたボールを、森重選手が柿谷選手につなげた決定機です。
「あの時は、自分より少し低い位置にいた柴崎選手に上手くボールが入ったので、ならば先読みして前線をサポートしようと考えました。『おそらく(柴崎)岳は縦パスを出すから』と予測し、大迫選手へのフォローをイメージしました。(左ウイングの)柿谷選手も良いタイミングで抜け出してくれたので、結果的に理想的な崩しになりました。ベネズエラ戦では柴崎選手をトップ下に近いポジションに置き、僕と細貝選手が中盤の底に並ぶような形でもバランスは良いのかなとも思いました。いずれにしても、“奪って、縦、縦”という、相手の陣形が整う前のショートカウンターで崩し切れるかが肝になりそうな気がします」
 
――残念ながらウルグアイ戦では、そうした崩しがありませんでした。インサイドハーフの田中選手は慣れないポジションのせいか、なかなかボールに触れませんでした。
「(アギーレジャパンの初陣だったので)仕方がない部分はあります。田中選手に限らず、いい形でボールをキープできる場面は少なかったはずです。ついでに言えば、中盤の構成については現時点でなんとも言えません。ディフェンシブな3人を同時起用するのか、攻撃的な選手をふたり置くのか、この前のように守備的な2枚(森重と細貝)にするかは、これから明らかになるはずです」
 
――中盤の構成と言えば、アンカーがインサイドハーフに求めたい資質、もしくは動きは?
「まず運動量がないと厳しいと思います。守備を考えると、自らボールを奪いに行く力も必要です」
 
――攻撃面では?
「ミドルシュートとかで点が取れる選手が良いですよね」
 
――先ほど前線にフィードする話がありましたが、どんなタイプのCFなら合わせやすいですか?
「そういう好みはありません。真ん中にどっしりと構えてポストプレーをしてほしい時もあれば、サイドに流れてスペースを作ってもらいたいケースもありますからね。その両方をこなせる選手が代表チームでは使われていく印象があります。ウイングを含めた前線の3枚には、守備も求められるはずです」
 
――強さとテクニックに加え、献身性も備える武藤選手は、理想のウイングと言えるかもしれないですね。
「武藤選手は、90分間を通して攻守両面で走れます。FC東京の試合でも最後まで量も質も落とさずプレーしていますから。スペースを見つけるセンスもあるし、彼にとって4-3-3は力を発揮しやすいシステムかもしれません」
 
――FC東京は今季の前半戦で4-3-3システムを主に使っていました。その免疫が代表戦でも活かされましたか?
「そうですね。フィッカデンティ監督に基礎を叩き込まれていたので、4-3-3システムで戦うことへの戸惑いはありませんでした」

ホワイトボードを使ってアンカーの動きを丁寧に解説してくれた森重。10月シリーズではMF登録での招集となった。(C) SOCCER DIGEST

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――4-3-3システムに慣れていない選手はどうでしたか?
「代表合宿の最初のほうは、どう動いていいのか迷う選手が結構いました」
 
――アドバイスをしたりしましたか?
「一応、ボールの動かし方、スペースへの走り方は提案しました。まあ、そのあたりは、これからみんなで話し合って作っていく部分です」
 
――ウルグアイ戦では4-3-3の他に4-4-1-1も試しました。いきなりのシステム変更に混乱は?
「特にないです。ただ、4-3-3のアンカーとはまた違う2ボランチで良い仕事ができたわけではありません。負けているシチュエーションでのシステム変更だったので、どっしりと構えるのではなく、もっと前に出てボールを奪いに行くチャレンジが必要でした」
 
――たしかに、システムが変わってもチームの重心は低いままでした。
「守備的なスタンスを捨て切れなかったのが良くなかったと思います。後ろに張り付くイージを外して、多少スペースを与えたとしても前に出る。そういう意識を持たないといけませんでした。臨機応変に振る舞う柔軟性が足りなかったのは、反省材料ですね」
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