個人能力で劣る日本代表が「4トップに4バックで対応した」のは正しかったのか?

カテゴリ:日本代表

白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

2019年03月23日

吉田、長友、酒井が不在だったならば…。

日本はこのムリエルのスピードにもかなり手を焼いた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 つまり、「数的均衡を受け入れる」という日本の選択は結果的に裏目に出たことになる。ただ、世界のスタンダードからすれば、戦術的に必ずしも選択ミスとは言えないのも確かだ。前述した通りJリーグでは最終ラインが数的優位を保つ守り方が一般的だが、そうなるとどうしても中盤から前の人数が制限され、攻撃力が削がれてしまう。そのためヨーロッパのトップリーグでは、あえて数的均衡を受け入れてDFの対応力に託すやり方が主流になりつつあるのだ。2018年1月からベルギーのシント=トロイデンに所属する冨安も試合後、こう語っている。

「ベルギーでは相手のFWと1対1になることがすごく多い。やっぱり11番(サパタ)はボールを収める力がありました。そこで1対1を制すことができれば、僕たちの攻撃の時間をもっと増やすことができたと思います。1対1の経験を積むことで駆け引きも覚えていくはずなので、回数を重ねていくしかない」
 
 その冨安は86分、抜ければ1点ものだったサパタとの1対1で身体をしっかり入れて突破をブロックしている。ただ問題は、こうした数少ないシーンを除き、ほとんどの1対1で劣勢を強いられていたことだ。

 この3月シリーズの日本代表には吉田麻也、長友佑都、酒井宏樹という3人の主力DFが不参加。ヨーロッパで長く経験を積み、数的均衡に慣れている彼らがいれば話は違ったかもしれないが、守備時は中盤の1人を最終ラインに下げて5バック気味にするなど数的優位を作ったほうがこの日は有効だったのではないか。

 年始のアジアカップは酒井、冨安、吉田、長友の4バックが基本形で、現時点ではこれが最終ラインのベストメンバー。それを踏まれば、「場合によっては最後尾も数的均衡を受け入れる」という戦い方は悪くない。しかし、自分たちのメンバー、そして何よりも相手の力量を見極める必要があるだろう。冨安の言う通り、「1対1で勝つこと」が大前提のスタイルだからだ。

 6月に森保ジャパンが挑むコパ・アメリカには、高いタレント力を備えた強豪が待ち構えている。個人能力で劣る以上、世界と戦うには柔軟さが求められる。

取材・文●白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)

【写真】日本対コロンビア戦を彩った「美女サポーター」たち

【日本代表PHOTO】日本0-1コロンビア|南米の強豪に挑んだ森保ジャパン!中島、堂安、南野が躍動するも最後まで得点を奪えず悔しい敗戦
 
【関連記事】
【セルジオ越後】新戦力は不発でロシア組もいまひとつ…未招集の大迫が得をしたね
日本対コロンビアを彩った「美女サポーター」をご紹介!
【釜本邦茂】“旬が過ぎた”ような香川のプレーぶり。試したい中堅や若手がいるなかで今のままでは…
【コロンビア戦|動画&記事一覧】解説:セルジオ越後、釜本邦茂、松木安太郎、採点&寸評、プレー分析、各国メディアの評価、PHOTOギャラリーetc.
冨安健洋が“痛恨ハンド”を悔やむ…「最終的に手が前に出たのが…」【日本代表】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ