• トップ
  • ニュース一覧
  • 16年の現役生活に幕… 渡邉大剛の選手生命を伸ばしたのはサイドアタッカーからの転換だった

16年の現役生活に幕… 渡邉大剛の選手生命を伸ばしたのはサイドアタッカーからの転換だった

カテゴリ:Jリーグ

郡司 聡

2019年03月17日

アキレス腱の断裂、大宮への移籍。それから意識改革が始まった

大宮では10番を背負い、チームの主軸としてJ1定着に力を尽くした。(C) SOCCER DIGEST

画像を見る

 プロ生活16年で代表とは縁がなかった。「一度でいいから代表候補の合宿に行ってみたかった」との思いはあるが、そこはプロの世界。「実力が足りなかった」と割り切るしかない。それでも、J1とJ2で積み重ねてきた出場記録は、Jリーグ通算397試合出場。「400」の大台に届かなかったことは心残りだが、現役生活を全うできた思いでいる。ここまで長く現役を続けられたことに対して、周囲でサポートしてくれた家族、チームメート、クラブスタッフ、コーチングスタッフ、そしてファン・サポーターにも感謝の念がたえない。
 
 振り返れば、キャリアの転機は二つのターニングポイントが大きく影響している。2009年の8月、京都在籍時に左アキレス腱断裂という大ケガを負ったことと、ステップアップを目指した11年の大宮アルディージャへの移籍だ。
 
 09年に左アキレス腱を断裂するまで、渡邉はバリバリのサイドアタッカーだった。ワイドにポジションを取り、味方からボールを受ければ、ドリブルで積極的に仕掛ける。アタッキングエリアでの選択肢はカットインからのフィニッシュやクロスボールの供給だった。しかし、左アキレス腱を断裂して以降、20代後半に差し掛かった年齢の影響もあるとはいえ、自分自身の中でもスピードや瞬発力の低下を実感しつつあった。
 
 当時のポジションはサイドハーフやサイドバック。サイドハーフに求められる役割も時代によって変化しつつあり、「サイドハーフのポジションにはインサイドでプレーできる選手が求められている」と渡邉本人は自覚していた。そして11年に大宮へ移籍してからは、サイドバックやサイドハーフのポジションには強力なライバルの存在があった。
 
 例えば、サイドバックであれば、守備でもバランスの取れる杉山新や村上和弘が重宝された。一つ前のポジションであるサイドハーフには、ベテランの藤本主税や生え抜きの渡部大輔らがいた。アキレス腱の断裂と、11年の大宮への移籍。それから、渡邉の“意識改革”が始まった。
 
「ライバルに対抗するにはどうしたらいいのか。ポジションを取るためにはどうすべきなのか。自分がプレーヤーとして生き残っていくためにはどうすればいいのか。それを考えるようになった」
 
 行き着いた答えは、ライバルの存在がヒントになった。藤本は個の力で打開するよりも、周囲との連係で生きるタイプの選手。また渡部はハードワーカーである上に、中でも勝負できるサイドプレーヤーだった。
 
「その二人のちょうど中間をできるようになることで生き残っていけるんじゃないか」
 
 ハードワークをいとわない献身性でチームを支え、周囲とのコンビネーションを発揮しながら、チームとしての機能性を高めるプレーヤーに脱皮する。攻守両面において、チームの“潤滑油”として働くことに、自分自身の存在価値を見いだした。
 
「京都時代のプレースタイルそのままだったら、こんなに長く現役を続けられなかったと思います」
 
 サイドアタッカーからの転換が、長らく現役生活を続けられる原動力になった。
 
 13歳の中学時代から綴ってきた“サッカーノート”は、現役引退の日を境に「止まっている」。サッカーに関することを思いつくままに書き留めてきたサッカーノートには、練習内容や試合のことだけではなく、他人には決して吐露できないグチの類も記してきたが、一文字も記していない現実は、サッカー選手をやめたことの証でもある。
 
 今後のセカンドキャリアは、これまでお世話になった人などに相談しながら、いくつかの可能性を模索している。その方向性が決まった時、渡邉大剛の第二の人生が始まる。
 
取材・文●郡司 聡(フリーライター)
 
【関連記事】
昨季限りで讃岐を退団した渡邉大剛が現役引退。「トライアウトに参加しオファーを待ちましたが…」
元磐田のカレン・ロバートがSNSで現役引退を表明!「チャレンジしきれて気持ちは晴れやか」
楢﨑正剛が引退セレモニーで現役生活24年の想いを吐露。戦友・川口能活のサプライズ登場には笑顔
【移籍動向一覧】J1・J2・J3 新加入、退団、引退選手&監督動向まとめ(2/25現在)
「いい経験になった」 世界最速のボルト、サッカー界からの“引退”を決意! 今後はビジネスの道へ

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ