そう語るほど、高橋氏は、“おらが街”のクラブを作ることへの使命感を強く持っていた。
「外国の地方に行くと、それこそカテゴリーが下であっても、みんな週末になればスタジアムに来て楽しんでいる。そういう姿を見ていいなあと。だから、応援するチームのカテゴリーに関してはこだわってはいませんでした」と言うように、高橋氏にとってまず重要だったのは応援できるクラブの存在。だから、当時は東京都リーグ3部から始まったJリーグ挑戦の夢に関しても「ここから徐々に上がっていくのも面白いかなと思っていました」とカテゴリーの低さは意に介さなかった。
「今まではどちらかというと、上のクラスのサッカーばかり見てきたので、実際に関わってみて、下のというか、そうではないサッカーがあるということも知りました。それもまた、いい経験になりましたね」
もちろんトップクラスの技と力のぶつかり合いはサッカー観戦の醍醐味に違いないが、いかなるカテゴリーのサッカーにも相応の魅力がある。現在の南葛SCにも、そうしたトップクラスとは異なる魅力があると高橋氏は語る。
「南葛SCはいまJ7に位置していますが、みんな普段はそれぞれの職場で働きながらサッカーをやっていて、そんななかでも上がっていこうというモチベーションで頑張っている。そういうサッカーも、やっぱりトップクラスとは違う魅力がありますし、実際に関わると新鮮な感じがしました」
すでに今季のリーグ戦は3月24日に開幕。運営会社の代表を務める高橋氏も、これから毎試合、チームの応援に出掛けることだろう。
「もちろん世界トップレベルのサッカーを見るのも楽しいですけど、そんなにレベルが高くなくても、おらが街のチームの試合になると手汗握るもの。そういうものなんでしょうね」
今シーズン、南葛SCはまたひとつ上のカテゴリー、“J6”に歩を進めることができるのだろうか。おらが街のクラブに“一喜一憂”するシーズンが始まった。
(第3回に続く。次週4月3日に配信予定です)
取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)
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