伝統のカードでゴールを挙げてきた偉大なるスター選手の系譜。

長き歴史の中で演じられた偉大なるスターによる数々の競演が、このカード、そしてここでゴールを奪うことの価値を高めた。写真は1994-95シーズンのR・バッジョ(左)とバレージ。 (C) Getty Images
生き残りを賭けた戦いとしてのユベントス戦の重要性もさることながら、この欧州でも屈指の好カードでゴール(それも勝利につながる一撃)を挙げるという名誉を手に入れるチャンスも、本田はいま手にしている。
ここ数年でセリエAの勢力分布も変わってきており、ミランは5、6番手の位置づけに甘んじている現在だが、1986年にシルビオ・ベルルスコーニがオーナーとなって以降、世界に冠たるクラブとして、セリエA、チャンピオンズ・リーグにおいては常に注目を集める存在として、多くのタイトルを手に入れてきた。
歴史をさかのぼってみると、1929年に現行のリーグ戦が始まって以来、優勝回数ではユベントス(30回)、ミラン・インテル(18回)の順番で、この“3強”が4位以下を大きく引き離している。またリーグ2位の回数はユベントスが21回、ミランとインテルは14回、これにローマが12回で続く。つまりセリエAの歴史の大部分で、覇権はユベントス、ミラン、インテルによって争われてきたと言っていいだろう。
ユベントスとインテルは、2006年に前者が八百長事件のペナルティを受けるまでは、どちらもセリエBに降格したことがなく、国を代表するクラブという意味で、この対決は「イタリア・ダービー」と呼ばれてきた。しかし80年代半ば以降、歴史の大部分においてスクデットを争ってきたのは、ミランとユベントスである。そこでは、数々の熱戦が展開され、世界の名だたるスター選手が印象に残るゴールを挙げてきた。
1929-30シーズンに初めてリーグ戦で対戦し、ホームのユベントスが3-1で勝利してから、このカードの歴史は始まった。両クラブがスクデットを争うほどの強豪となってからは、オマール・シボリ、アマリウド、ロベルト・ベッテガ、フランコ・カウジオ、ジャンニ・リベラ、ファビオ・カペッロ、マルコ・タルデッリ、ガエタノ・シレア、クラウディオ・ジェンティーレ、ミシェル・プラティニ、パオロ・ロッシ、フランコ・バレージ、ミカエル・ラウドルップといったイタリア国内外のスーパースターが、そのゴールで観衆を熱狂させた。
80年代に入り2度のセリエB降格を経て深刻な財政難に陥ったミランが、ベルルスコーニに買収されたのが86年。新体制で迎えた86-87シーズンの最初の対戦は0-0の引き分けに終わり、黄金時代の幕開けとなるスクデット奪取を果たした翌シーズンの前半戦ではルート・フリットがゴール、1-0でユベントスを下した。
当時は、ミランの浮上に対してユベントスが低迷期に入っており、88-89シーズンの後半戦には4-0という一方的なスコアが記録されている。マルコ・ファン・バステン、カルロ・アンチェロッティ、パオロ・マルディーニといった選手がゴールを決めてミランが勝利を重ねる一方で、ユベントスがサルバトーレ・スキラッチやロベルト・バッジョ、ピエルイジ・カジラーギのゴールで時折抵抗を見せるという形が90年代半ばまで続いた。
97-98シーズンに今度はミランは低迷期に入るが、97年4月6日は特に悪夢の1日となった。ホームでウラジミール・ユーゴビッチ、ジネディーヌ・ジダン……と次々にユベントスのゴールを許し、1-6の大敗を喫したのだ。このカードで最も大差のついた一戦である。ミランのレジェンド、マルディーニも、自身のキャリアで最も思い出したくない出来事として、この試合を挙げているほどだ。
ちなみにマルディーニは現役時代、「実を言えば、ミラノ・ダービーを意識したことはあまりない。なぜなら、タイトルを決する戦いとはならなかったからだ。そういう意味で、より重要だったのはユベントス戦だった」と語っている。重要な局面では常に顔を合わせていた赤黒と白黒のストライプ。そしてこの対決は2002-03シーズン、ついに欧州王者を決する最高峰の戦い(チャンピオンズ・リーグ決勝)のカードにもなった(スコアレスからのPK戦でミランが勝利)。
その後も、アレッサンドロ・デル・ピエロ、フィリッポ・インザーギ、ジョージ・ウェア、アンドリー・シェフチェンコ、アントニオ・コンテ、ダビド・トレゼゲ、リリアン・テュラム、アンドレア・ピルロ、パベル・ネドベド、クラレンス・セードルフ、カカ、アレッサンドロ・ネスタ、ロナウジーニョ、ズラタン・イブラヒモビッチ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ、ロビーニョなどの名手たちが、このカードでゴールを記録した。現ミラン監督のインザーギ、ピルロなどは、両方のチームで得点者となっている。
そして最も直近の試合で本田も出場した昨シーズンの第26節、2-0で勝利したユベントスのゴールは、フェルナンド・ジョレンテとカルロス・テベスによって記録された。ちなみにこの一戦が終了した時点で、このカードのセリエAにおける通算成績は、ミランの48勝57分け57敗・214得点225失点。コッパ・イタリアやチャンピオンズ・リーグを合わせると、ミランの48勝59分け59敗・218得点・231失点である。
本田はこのユベントス戦でも、自らゴールを奪うことに意欲を見せているようだが、ここに紹介してきた伝統の対決における偉大なる得点者の系譜に名を連ねるられるかどうか。今シーズン最初の大一番は、非常に興味深いものとなる。
ここ数年でセリエAの勢力分布も変わってきており、ミランは5、6番手の位置づけに甘んじている現在だが、1986年にシルビオ・ベルルスコーニがオーナーとなって以降、世界に冠たるクラブとして、セリエA、チャンピオンズ・リーグにおいては常に注目を集める存在として、多くのタイトルを手に入れてきた。
歴史をさかのぼってみると、1929年に現行のリーグ戦が始まって以来、優勝回数ではユベントス(30回)、ミラン・インテル(18回)の順番で、この“3強”が4位以下を大きく引き離している。またリーグ2位の回数はユベントスが21回、ミランとインテルは14回、これにローマが12回で続く。つまりセリエAの歴史の大部分で、覇権はユベントス、ミラン、インテルによって争われてきたと言っていいだろう。
ユベントスとインテルは、2006年に前者が八百長事件のペナルティを受けるまでは、どちらもセリエBに降格したことがなく、国を代表するクラブという意味で、この対決は「イタリア・ダービー」と呼ばれてきた。しかし80年代半ば以降、歴史の大部分においてスクデットを争ってきたのは、ミランとユベントスである。そこでは、数々の熱戦が展開され、世界の名だたるスター選手が印象に残るゴールを挙げてきた。
1929-30シーズンに初めてリーグ戦で対戦し、ホームのユベントスが3-1で勝利してから、このカードの歴史は始まった。両クラブがスクデットを争うほどの強豪となってからは、オマール・シボリ、アマリウド、ロベルト・ベッテガ、フランコ・カウジオ、ジャンニ・リベラ、ファビオ・カペッロ、マルコ・タルデッリ、ガエタノ・シレア、クラウディオ・ジェンティーレ、ミシェル・プラティニ、パオロ・ロッシ、フランコ・バレージ、ミカエル・ラウドルップといったイタリア国内外のスーパースターが、そのゴールで観衆を熱狂させた。
80年代に入り2度のセリエB降格を経て深刻な財政難に陥ったミランが、ベルルスコーニに買収されたのが86年。新体制で迎えた86-87シーズンの最初の対戦は0-0の引き分けに終わり、黄金時代の幕開けとなるスクデット奪取を果たした翌シーズンの前半戦ではルート・フリットがゴール、1-0でユベントスを下した。
当時は、ミランの浮上に対してユベントスが低迷期に入っており、88-89シーズンの後半戦には4-0という一方的なスコアが記録されている。マルコ・ファン・バステン、カルロ・アンチェロッティ、パオロ・マルディーニといった選手がゴールを決めてミランが勝利を重ねる一方で、ユベントスがサルバトーレ・スキラッチやロベルト・バッジョ、ピエルイジ・カジラーギのゴールで時折抵抗を見せるという形が90年代半ばまで続いた。
97-98シーズンに今度はミランは低迷期に入るが、97年4月6日は特に悪夢の1日となった。ホームでウラジミール・ユーゴビッチ、ジネディーヌ・ジダン……と次々にユベントスのゴールを許し、1-6の大敗を喫したのだ。このカードで最も大差のついた一戦である。ミランのレジェンド、マルディーニも、自身のキャリアで最も思い出したくない出来事として、この試合を挙げているほどだ。
ちなみにマルディーニは現役時代、「実を言えば、ミラノ・ダービーを意識したことはあまりない。なぜなら、タイトルを決する戦いとはならなかったからだ。そういう意味で、より重要だったのはユベントス戦だった」と語っている。重要な局面では常に顔を合わせていた赤黒と白黒のストライプ。そしてこの対決は2002-03シーズン、ついに欧州王者を決する最高峰の戦い(チャンピオンズ・リーグ決勝)のカードにもなった(スコアレスからのPK戦でミランが勝利)。
その後も、アレッサンドロ・デル・ピエロ、フィリッポ・インザーギ、ジョージ・ウェア、アンドリー・シェフチェンコ、アントニオ・コンテ、ダビド・トレゼゲ、リリアン・テュラム、アンドレア・ピルロ、パベル・ネドベド、クラレンス・セードルフ、カカ、アレッサンドロ・ネスタ、ロナウジーニョ、ズラタン・イブラヒモビッチ、ジェンナーロ・ガットゥーゾ、ロビーニョなどの名手たちが、このカードでゴールを記録した。現ミラン監督のインザーギ、ピルロなどは、両方のチームで得点者となっている。
そして最も直近の試合で本田も出場した昨シーズンの第26節、2-0で勝利したユベントスのゴールは、フェルナンド・ジョレンテとカルロス・テベスによって記録された。ちなみにこの一戦が終了した時点で、このカードのセリエAにおける通算成績は、ミランの48勝57分け57敗・214得点225失点。コッパ・イタリアやチャンピオンズ・リーグを合わせると、ミランの48勝59分け59敗・218得点・231失点である。
本田はこのユベントス戦でも、自らゴールを奪うことに意欲を見せているようだが、ここに紹介してきた伝統の対決における偉大なる得点者の系譜に名を連ねるられるかどうか。今シーズン最初の大一番は、非常に興味深いものとなる。