「残した数字には非常に満足している」
「ネルシーニョ監督は変わらない。練習でいい動きをしていれば抜擢されるし、ミスをすればレギュラーでもポジションの保証はない。試合は常に勝つことを目的にしている。どんな試合であっても、常にベストのメンバーで勝ちにいく」
ネルシーニョ監督とともに5年半のシーズンを戦ってきた選手たちに、指揮官の哲学を問うと、いつ、誰に話を聞いても異口同音にこうした言葉が返ってきた。つまりは、「厳しくもフェアなチーム内競争」。それが選手と監督の信頼関係の表われであったことは確かだ。
「私が伝えてきたやり方、哲学は永遠ではありません。新しい体制、プロフェッショナルによって、またチームは動き始めるものだと思っている」
ネルシーニョ監督は今後のレイソルについて、ドライな口調で語っている。
たしかにネルシーニョ監督が、柏の選手とサポーターに浸透させた「VITORIA」の精神がただの合言葉に終わらなかったのは、普段の練習から見せている厳しい姿勢とともに、適切なタイミングでこの精神を植え付ける言葉が選手に伝えられていたからだ。指揮官が代われば、また新しい哲学がチームに植え付けられていくだろう。
ネルシーニョ監督の就任以降、柏が万年中位以下のチームから優勝争いに加われるチームに生まれ変わったのは事実だ。しかし常勝軍団というポジションを確保するには、もう少し時間が必要だ。せめてもう一度、リーグ制覇を実現できるまでネルシーニョ監督がチームを率いることはできなかったか。実際、ネルシーニョ監督自身も長期政権を前向きに考えていた時期もある。
「プロとして大事な経験とさまざまな思い出がレイソルにありますし、与えられることができたと思う。ここまでクラブとともに、仲間とともに戦ってきて残した数字には非常に満足しています。またフロントと選手の支えと理解があってこれまでやってこられた。レイソルで仕事ができて良かった。結果で貢献できたことをプロとして満足している」
ネルシーニョ監督は柏でやり残したことはないと、断言した。
とはいえ、負けず嫌いの監督のこと。今後も1試合1試合、激しい情熱を持って試合に臨み、結果に一喜一憂する姿を見せてくれるだろう。そして、その姿を見つつ、彼がいなくなったあと、チームに少しでも長く「VITORIA」の精神が生き続けることを望みたい。
「これまでのたくさんの経験や勝利のなかで、必要なこと、欠かしてはいけないことは選手たちの身体に染みついている。簡単になくなるものではないと思います」
今後も日本での仕事を望むネルシーニョ監督と、柏が対戦することになった時、古巣が策士ネルシーニョを驚かすほどの力をつけていることを、監督自身も願っているはずだ。
取材・文:平山佳代(フリーライター)
柏レイソル&ネルシーニョ監督 栄光の軌跡(2009.08~)――最大の悲しみから至上の喜びへ
ネルシーニョ監督とともに5年半のシーズンを戦ってきた選手たちに、指揮官の哲学を問うと、いつ、誰に話を聞いても異口同音にこうした言葉が返ってきた。つまりは、「厳しくもフェアなチーム内競争」。それが選手と監督の信頼関係の表われであったことは確かだ。
「私が伝えてきたやり方、哲学は永遠ではありません。新しい体制、プロフェッショナルによって、またチームは動き始めるものだと思っている」
ネルシーニョ監督は今後のレイソルについて、ドライな口調で語っている。
たしかにネルシーニョ監督が、柏の選手とサポーターに浸透させた「VITORIA」の精神がただの合言葉に終わらなかったのは、普段の練習から見せている厳しい姿勢とともに、適切なタイミングでこの精神を植え付ける言葉が選手に伝えられていたからだ。指揮官が代われば、また新しい哲学がチームに植え付けられていくだろう。
ネルシーニョ監督の就任以降、柏が万年中位以下のチームから優勝争いに加われるチームに生まれ変わったのは事実だ。しかし常勝軍団というポジションを確保するには、もう少し時間が必要だ。せめてもう一度、リーグ制覇を実現できるまでネルシーニョ監督がチームを率いることはできなかったか。実際、ネルシーニョ監督自身も長期政権を前向きに考えていた時期もある。
「プロとして大事な経験とさまざまな思い出がレイソルにありますし、与えられることができたと思う。ここまでクラブとともに、仲間とともに戦ってきて残した数字には非常に満足しています。またフロントと選手の支えと理解があってこれまでやってこられた。レイソルで仕事ができて良かった。結果で貢献できたことをプロとして満足している」
ネルシーニョ監督は柏でやり残したことはないと、断言した。
とはいえ、負けず嫌いの監督のこと。今後も1試合1試合、激しい情熱を持って試合に臨み、結果に一喜一憂する姿を見せてくれるだろう。そして、その姿を見つつ、彼がいなくなったあと、チームに少しでも長く「VITORIA」の精神が生き続けることを望みたい。
「これまでのたくさんの経験や勝利のなかで、必要なこと、欠かしてはいけないことは選手たちの身体に染みついている。簡単になくなるものではないと思います」
今後も日本での仕事を望むネルシーニョ監督と、柏が対戦することになった時、古巣が策士ネルシーニョを驚かすほどの力をつけていることを、監督自身も願っているはずだ。
取材・文:平山佳代(フリーライター)
柏レイソル&ネルシーニョ監督 栄光の軌跡(2009.08~)――最大の悲しみから至上の喜びへ