この柴戸について池田伸康コーチは「私が思うより柴戸は早く成長している。その理由に柴戸の謙虚な性格がある。いま、やらなければならないことをコツコツやっている。試合に出られなくても悔しい気持ちを殺して前に行く姿勢を選べる。だからこそ徐々にステップアップしている」と目を細めた。

　池田コーチの言葉を裏付けるように柴戸は自身をこう捉える。
「練習は１００％を心掛けている。手を抜いていい選手でも年齢でもポジションでもない。一番、やってやるという気持ちはいつもある。試合中、３枚しかない交代枠で自分が使われる意味を考えてプレーしている。悔しい気持ちで試合を見ている選手の分もプレーする責任が自分にはある」と内なる思いを熱く語った。

　青木拓矢、阿部勇樹に続く職人肌ボランチ。堅実ながら無難なプレーが少ない柴戸海に２年目の躍進の予感がある。

「レギュラーの一番の近道は監督が求めることを明確に理解し、ピッチで表現できること」（池田コーチ）
　柴戸がオリヴェイラ監督に評価される理由がここにある。
 

　実は冒頭のオリヴェイラ監督の言葉には続きがある。
「ただ余計な消耗は避けたい。より良い経験を積まなければならない」

　リーグ、ACLの２冠を狙う浦和。ヒリヒリする戦いのなか、柴戸海の存在が大きくなる2019シーズンとなる。

取材・文●佐藤亮太（レッズプレス!!）