【J2】「昇格できない」ギラヴァンツ北九州のそれでも痛快な大躍進

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2014年09月15日

「目の前の一試合に全力を出し切るだけ」

J1ライセンスを受けられず昇格できない境遇ながら、北九州が大躍進。3位の磐田に勝点1差に迫り、昇格プレーオフ戦線をかき回している。 (C) SOCCER DIGEST

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 前述したように、プレーオフ圏内に勝ち残っても北九州は昇格できない。それは悲しいことだが、意欲を下げる要因になっていないことは15勝7分け9敗という数字からも明らかだ。ちなみに北九州は接戦に滅法強く、15勝中11勝が1点差の勝利である。
 
 昇格できないことについて訊ねると、その質問は慣れっこだというかのように、選手たちは表情を変えずに話してくれた。
「ぼくたちはプロですから、目の前の一試合に全力を出し切るだけです。個人としても、しっかり活躍して契約を勝ち取らないといけないですから」(前田)
「ぼくたちがプレーオフ圏内に勝ち残ることで1チーム、昇格のチャンスが消える。そういうのも面白いと思います」(小手川)
 チームの充実ぶりが表情や言葉に滲み出ていて、とても好感が持てた。
 
 もっとも、この試合のあと少し考え込んでしまった。
 Jリーグ、特に今季のJ2は北九州を筆頭に、湘南、松本山雅、ファジアーノ岡山、大分トリニータなど、大きな支援母体を持たないチームが大健闘を見せている。しかし、その一方で磐田、京都サンガ、ジェフ千葉といった恵まれたチームがだらしない。
 
 弱小球団が意地を見せるのは痛快だ。しかし「持てるチーム」が、その環境に甘えているのはおかしい。
「自分たちは恵まれた環境でプレーしている、それは結果でお返ししますよ」というプライドがなければ、プロって何なの? ということになってしまう。
 
取材・文:熊崎敬
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