決勝も無失点で優勝すれば、冨安が大会MVPになってもおかしくはない
このコンビは、南アフリカW杯で日本のベスト16進出に貢献し、過去最強のセンターバックと言われた中澤祐二と田中マルクス闘莉王のコンビを彷彿とさせる。中澤と闘莉王の高い壁は、相手のクロスボールをことごとく撥ね返し、アンカーの阿部勇樹、そして長谷部誠らがセカンドボールを拾って、前線への素早い攻撃につなげていた。当時の戦術である堅守速攻を実現し、結果出すことができたのは、もちろん本田圭佑の活躍もあったが中澤と闘莉王という強固なセンターバックが存在していたからでもある。
今回のイラン戦も吉田と冨安がクロスボールを撥ね返し、セカンドボールを遠藤航と柴崎岳が拾い、原口元気や南野、堂安律、大迫への攻撃に繋げていた。守から攻への流れに淀みがなかった。ただ、今後の可能性という点においては、中澤と闘莉王コンビを超えるポテンシャルを持ち、ワクワク感が止まらない。
今回のイラン戦も吉田と冨安がクロスボールを撥ね返し、セカンドボールを遠藤航と柴崎岳が拾い、原口元気や南野、堂安律、大迫への攻撃に繋げていた。守から攻への流れに淀みがなかった。ただ、今後の可能性という点においては、中澤と闘莉王コンビを超えるポテンシャルを持ち、ワクワク感が止まらない。
W杯を始め国際大会では守備が堅くなければ、勝ち進むことはできない。
特に決勝トーナメントに進出すると、まず失点しないことが重要になる。日本は決勝トーナメントに入ってからは失点ゼロだ。トーナメントを勝ち抜くセオリー通りの戦いがしっかりとできている。吉田と冨安のセンターバックコンビが、その軸になっている。
ふたりの存在は、「これから」という意味でも大きい。
ロシアW杯で活躍した吉田+昌子源というコンビに加え、今大会、吉田+冨安がセンターバックの第1セットに名乗りを上げてきたことで、薄いと言われてきた日本のセンターバックの層に少し厚みが出てきた。吉田が不在になっても昌子+冨安がいけるだろうし、まだ植田直通、三浦弦太、槙野智章らがいる。これから始まるカタールW杯予選に向けて非常に明るい材料になっただろう。
いよいよ決勝だが、ファイナルを戦う上でふたりの存在は、大迫と同じぐらい日本の強みになっている。ふたりは、イラン戦の完封勝利でさらに大きな自信を得ただろう。試合後の冨安のキラキラした笑顔がそれを物語っていた。波に乗れるいい勝ち方をしてチームのムードも盛り上がっている。アジア無双のセンターバックコンビが決勝も無失点で締めて優勝すれば、このふたり、とりわけ冨安が大会MVPになってもおかしくはない。
文●佐藤俊(スポーツライター)