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負ければゴミ扱いの世界で抱く夢――“神様”に憧れた日本の少年がアルゼンチンでプロになるまで【後編】

カテゴリ:海外日本人

チヅル・デ・ガルシア

2019年01月31日

失敗すれば「ゴミ扱い」される厳しさ

後藤は大ファンであるボカのレジェンドでもあるブラス・ジュンタ監督(右)の下で、日々研鑽を積んでいる。 (C) Javier Garcia MARTINO

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「代理人を持たない日本人選手が、3部のアルミランテ・ブラウンでプレーしている」と知ると、アルゼンチンのサッカー好きは大抵驚く。3部とはいえ、外国から来た若者が、簡単にプレーさせてもらえるところではないからだ。

 後藤も最初のうちは、試合のメンバー入りさえできなかったが、やがて控え要員としてベンチに入り、昨年10月にはデビュー戦でいきなりゴールを決める快挙をやってのけた。

「去年、前期の半分以上はメンバー入りもできなかったんですが、やっと呼ばれて、初めてベンチに入った日に監督が使ってくれて、そこで点を決めることができたんです。それでちょっと、株を上げたと思います。

あの時以来、たとえメンバー入りできなくても、自分を戦力として見てくれているという感触があるので、今は気持ち的に落ち着いています。少しずつですが、アルゼンチンに来てからステップアップできています」

 アルミランテ・ブラウンの監督を務めるのは、かつてボカ・ジュニオルスでプレーした経歴を持つブラス・ジュンタ。現役時代は泥まみれになりながらボールを奪いまくる熱いボランチとして名を馳せ、ボカのサポーターたちからは今でも、「闘魂の象徴」として崇拝されている男だ。

 マラドーナの影響から、ボカの大ファンである後藤にとって、憧れのクラブで崇拝される男の下でプレーできることは、大きな喜びでもある。

 後藤に今、好きな選手を聞くと、ボカ所属のアルゼンチン代表FWクリスティアン・パボンを挙げた。サイドの深い位置まで攻め上がって後方にクロスを出す、いわゆるプルバックを得意とするプレースタイルなど、類似点も多く、アルミランテ・ブラウンに入団した直後、アルゼンチン・メディアから「和製パボン」という肩書きをつけられたこともあった。

 そのパボンはアルゼンチン代表の一員として、昨夏のロシア・ワールドカップにも出場したが、現在は一時的に調子を落とし、辛辣な評価を下されている。

 昨年末に行なわれたコパ・リベルタドーレス決勝で宿敵リーベルに敗れてしまった試合でも、期待外れのパフォーマンスに終始し、ボカのサポーターたちも厳しい見方をするようになっているのだ。

 ニューヒーローですら、少しでも良くないプレーを披露すれば、すぐさま非難を浴びる。それこそが、アルゼンチンが持つ独特の厳しさだ。それを肌身で触れてきた後藤は、次のように話してくれた。

「とにかく、アルゼンチン人は負けず嫌いで、負けたらゴミ以下の扱いをされますからね。でも、そういうところが勝負強さに繋がっているんだと思います。子どもの頃から勝つことにこだわっていて、勝負慣れしているというか、負けないための術を習得してきている。

 日本人は、試合以外の場ではテクニックもスピードもトップレベルにあると思いますが、やっぱり試合で勝てなければ話になりませんからね。

その点、アルゼンチン人は勝負どころを心得ていて、そういうところは、ディエゴ・シメオネやマウリシオ・ポチェティーノといったアルゼンチン出身の監督たちが、欧州で成功している理由のひとつでもあると思います」
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