【秘蔵写真館】若き日のアギーレ日本代表監督――1986年メキシコ・ワールドカップ

カテゴリ:日本代表

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年09月04日

自国開催のW杯で悔いの残る結末…そしてこれが最後の挑戦に。

86年W杯準々決勝を前に気合いが入る(下段左端)。最初の自国開催となった70年大会(ベスト8)を超える成績を狙ったメキシコだったが、PK戦で力尽きた。勝つチャンスは十分にあったが…。 (C) SOCCER DIGEST

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キャプテンのボイが不在の際にはキャプテンを務めた。写真は86年W杯準々決勝の西ドイツ戦。手前はあのフェリックス・マガトだ。 (C) Getty Images

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 代表選手としてのハイライトは、何といっても自国で開催された86年のワールドカップ。前年に起きた大地震の傷痕が各地に残るなかでの大会で、名将ボラ・ミルティノビッチに率いられたメキシコはダークホースとして世界から注目されていた。

 スペインのレアル・マドリーでストライカーとして活躍していた英雄ウーゴ・サンチェスをはじめとして、メキシコは多くの好選手を擁しており、アギーレはそのなかで確固たる地位を築いた主力中の主力のひとりだった。
 
 ベルギー、パラグアイ、イラクと戦ったグループリーグを2勝1分けの首位で勝ち上がり、決勝トーナメント1回戦でもブルガリアを一蹴したメキシコ。アギーレは全ての試合でフル出場を果たす。そして準々決勝で、メキシコは西ドイツと対戦。この試合は、アギーレにとっても決して忘れられないであろう一戦となった。
 
 勢いに乗っていたメキシコに対し、西ドイツは選手のコンディションが悪く、グループリーグは1勝1分け1敗、トーナメント1回戦でもモロッコ相手に終了間際の得点で辛うじて勝ち上がるという不安定さを見せていた。試合会場は、メキシコが過去4戦を戦った首都メキシコシティではなく、アメリカとの国境に近い北部モンテレイだったが、スタンドはメキシコ国旗の三色に染まっており、あらゆる要素からも開催国有利と見られていた。
 
 試合が進むと、さらにメキシコはアドバンテージを得る。後半途中で西ドイツに退場者が出たのだ。数的アドバンテージを得て攻勢を強めたメキシコ。アギーレも積極的に前線に飛び出し、終了間際には右からのクロスをボレーでジャストミートしてゴールマウスを捉えたものの、GKハラルド・シューマッハーの驚異的な反応により弾き出された。
 
 そして試合は延長戦へ。10分、西ドイツのローター・マテウスがドリブルを仕掛けたところを、反応が遅れたアギーレがアフターチャージ。マテウスは激しく転がり、前半早々に警告を受けていたアギーレには、レッドカードが掲げられた。肩を落としてピッチを去る傍らで試合は進み、両チームとも無得点のままPK戦に突入。開催国はプレッシャーに負ける形でふたりが失敗し、メキシコ人で埋まったスタンドは沈黙した。
 
 アギーレにとっては悔いの残る結末となったが、それでも当時27歳のMFには、次のチャンスがあるはずだった。しかし、前述の通りオサスナでの大怪我が後を引き、さらに88年には翌年のワールドユース(現U-20ワールドカップ)に向けての予選を戦っていたユース代表チームに年齢詐称が発覚。全ての年代の代表チームにメジャー大会からの締め出しという重い処分が下った。90年イタリア・ワールドカップでのリベンジは叶わず、アギーレの代表キャリアは92年3月11日のCIS(ソ連崩壊後の独立国家共同体)戦で終わりを告げた。
 
 リーダー気質を持った選手で、元々指導者向きだったアギーレは、93年の現役引退後、すぐに指導者に転身し、94年アメリカ・ワールドカップではメキシコ代表監督を務めたミゲル・メヒア・バロンのアシスタントを務めている。その後の指導者としての軌跡は冒頭で紹介した通りであり、今夏、日本で新たな挑戦を開始した。代表選手としてベスト8、監督として2大会でベスト16という成績を残したメキシコの闘将は、異国の代表チームをどこまで引き上げてくれるだろうか。
 
 
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