彼らはなぜ3部クラブに入るのか?
ここ10年、チェルシーのユースチームは国内サッカーを席巻している。過去9回のFAユースカップのうち7度も優勝。さらにここ数年のイングランド代表のユース年代に招集された128人のなかに19人も送り込んだという事実からも、いかに彼らのアカデミーが優れているかが、お分かりいただけるだろう。
だが、その若手タレントたちの多くがトップチームで出場機会を得られずに終わるケースが大半という現実もある。
ゆえにサウスロンドン生まれの選手たちも、早々にトップチームでプレーする機会を得るため、組織に優れたチェルシーではなく別のクラブのアカデミーへ行くケースが増えている。
そうした背景もあって、注目されているのは、チャールトンとフルアムだ。
チャールトンはトップチームこそ3部だが、J・ゴメスやルックマン、そして将来有望な若手DFとして期待されている21歳のエズリ・コンサ(現ブレントフォード)など、多くの逸材をアカデミーで育て、10代でトップデビューを飾らせ、早々に他クラブへと移籍させている。
フルアムもライアンとスティーブンのセセニョン兄弟(いずれもフルアム)、現在マンチェスター・シティからラ・リーガのジローナにレンタル移籍をしているパトリック・ロバーツを育て上げた実績がある。
こうしたある一定の地域から排出された多くの才能が、トップクラスの舞台で実力を発揮するのは、実は決して目新しい事例でもない。
だが、その若手タレントたちの多くがトップチームで出場機会を得られずに終わるケースが大半という現実もある。
ゆえにサウスロンドン生まれの選手たちも、早々にトップチームでプレーする機会を得るため、組織に優れたチェルシーではなく別のクラブのアカデミーへ行くケースが増えている。
そうした背景もあって、注目されているのは、チャールトンとフルアムだ。
チャールトンはトップチームこそ3部だが、J・ゴメスやルックマン、そして将来有望な若手DFとして期待されている21歳のエズリ・コンサ(現ブレントフォード)など、多くの逸材をアカデミーで育て、10代でトップデビューを飾らせ、早々に他クラブへと移籍させている。
フルアムもライアンとスティーブンのセセニョン兄弟(いずれもフルアム)、現在マンチェスター・シティからラ・リーガのジローナにレンタル移籍をしているパトリック・ロバーツを育て上げた実績がある。
こうしたある一定の地域から排出された多くの才能が、トップクラスの舞台で実力を発揮するのは、実は決して目新しい事例でもない。
昨夏のロシア・ワールドカップで世界制覇を成し遂げたフランス代表では、キリアン・エムバペをはじめとする実に8人がパリ郊外の生まれだ。貧しい地域で育った彼らは、大会後には“バンリュー(郊外の意)の少年たち”として知られるようにもなっていた。
では、フランスとイングランドでの違いは何か? 私が考えるにフランスの方が若手に与えられるチャンスが遥かに多いということだ。
どのクラブにいようと若手にチャンスが与えられやすいフランスに比べ、イングランドではクラブによって出場機会が得られるかはまちまち。例えば、チェルシーにいれば、トップチームでのプレーは狭き門であるが、逆にクリスタル・パレスにいればチャンスが巡ってくることもある。
前述のようにトップチームが3部でもチャールトンのような下部クラブを選択する若手が増えているのは、「チェルシーの一員になれる」という目先の栄誉ではなく、将来的な成功を追い求め、アピールの場をまず手に入れようとする選手が多くなっている背景があるからなのだ。
その中心にサウスロンドン生まれの選手たちがいて、しつこいかもしれないが、彼らの存在が昨今の代表チームの成功にも繋がっているのは言うまでもない。
これはあくまで私の希望的観測だが、スリーライオンズは、この先、数回にわたって、ワールドカップで優勝を争うチームへと成長するだろう。そして、それは間違いなく“サウスロンドンの少年たち”によってもたらされるはずだ。
スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)
スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。