◆ケース３：アトレティコ・マドリー移籍
クラブのニーズに合致した的確な補強となる
 
　バイタリティー溢れるディエゴ・シメオネ監督の下で快進撃を見せ、昨シーズンはリーガ・エスパニョーラを制し、さらにチャンピオンズ・リーグでも準優勝に輝いたアトレティコ・マドリー。今シーズンは、ジエゴ・コスタやジエゴ、ティボー・クルトワといった攻守の主力が退団したものの、バイエルンから加入したマリオ・マンジュキッチはいきなり公式戦で結果を出し、同じく新加入のアントワン・グリーズマンも可能性を感じさせるなど、ここまでさほど戦力ダウンを感じさせていない。
 
　今シーズンも大いに注目を集めているA・マドリーだが、早くから香川獲得の噂は挙がっていた（レンタルでの獲得を狙っているともいわれている）。では今、最も旬なクラブのひとつであるA・マドリーに、香川が入り込む余地はあるだろうか。
 
　昨シーズンのA・マドリーは、４-４-２を基本フォーメーションとし、素早いパスワークからD・コスタにつないでゴールを奪うスタイルを貫き通してきた。今シーズンもハイテンポのパスワークは健在で、国内スーパーカップのレアル・マドリー戦では、欧州王者を圧倒する時間帯も多々あった。そんなサッカーを可能にする、コケ、アルダ・トゥラン、ガビといった選手は「シメオネ・チルドレン」とも呼ばれ、まるで見えない糸でつながっているように、鮮やかなパスワークを見せる。
 
　このなかに後から入り込むことは、香川にとっては大きな不利とも言えるが、今シーズンのA・マドリーは現在、４-２-３-１システムにも取り組んでいる最中で、しかもトップ下の専任が必要とされている。一時は確実とされていたパリ・サンジェルマンのハビエル・パストーレ獲得が進まずにいるという。香川にとってA・マドリーは、非常に挑戦のし甲斐がある刺激的な環境と言えるだろう。

 
◆ケース４：ユベントス移籍
新旧のトップ下候補と競い合う日々
 
　アルトゥーロ・ビダルの獲得を狙うマンチェスター・Uが移籍金を抑えるために、香川をトレード要員として考えているというニュースが流れている。ピッチを所狭しと駆け回り、攻守で効果的なプレーを見せるビダルはユベントスにとっては替えの利かない存在だが、仮にこの移籍が実現した場合、香川の起用法はどのようなものとなるだろうか。
 
　キャンプイン直後の電撃的なアントニオ・コンテ前監督の退任で揺れたユベントスだが、マッシミリアーノ・アッレグリ新監督の下で落ち着きを取り戻し、セリエA４連覇を果たすべく、現在は最終調整を行なっている最中だ。システムは、コンテ監督が採用した３-５-２からアッレグリ監督が好む４-３-１-２へ移行していくものと思われる。
 
　香川が争うのは当然、トップ下のポジションだが、ここには新加入のロベルト・ペレイラが第一候補として挙がっている。ウディネーゼから加入したアルゼンチン人で、高い技術を駆使して中盤全体で機能する。また、クラウディオ・マルキージオもトップ下に対応でき、他には新たに加入したフランスの超逸材、FWのキングスレー・コマンといったところが、香川のライバルとなるだろう。
 
　いずれも、香川にとっては非常に手ごわい相手ばかりだが、ユベントスもチャンピオンズ・リーグやコッパ・イタリア等、多くのコンペティションを控えているだけに、マンチェスター・Uにいるよりも、公式戦でピッチに立つ可能性は確実に高くなるはずだ。そして日本人のファンとしては、インテルの長友佑都、ミランの本田圭佑との対決という、興味と楽しみも生まれることになる。