「俺みたいなもんは…」そう吐き捨てた小笠原満男。誰よりも輝き続けた“真の黄金”

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2018年12月29日

「いつかは次にバトンを渡す日が来る」と話していた

今年11月、もっとも欲していたACLのタイトルを奪取し、歓喜が弾ける。キャリアの最後までトップシーンを駆け抜けた。(C)Getty Images

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 言わば、自分自身を客観的に捉えられる名人なのだ。自分にしかできないこと、しなきゃいけないことをとことんまで突き詰め、とりわけアントラーズでリーダーとなった30代以降は、「小笠原満男だからできること」に真摯な姿勢で向き合ってきたように思う。それが自身の存在意義だと自覚している。

 彼は「俺みたいなもんは……」というフレーズを多用していたが、単なる謙遜だけではないだろう。自分は大した選手ではない、慢心してはいけない。だからこそ、支えてくれる仲間やサポーター、クラブのためにすべてを捧げなければならない。この言葉をこの男から聞くたびに、背後に得体の知れない巨大なパワーを感じさせられた。根っからのリーダータイプでは決してない。ただ、使命感が途轍もなく強いのだ。

 日本代表時代もよく取材をさせてもらい、長い付き合いのなかで不平や不満もたくさん聞いた。だが、ミツオの文句はいっさい「ネガティブな文句」ではない。確固たる根拠と彼なりの明確な答がそこにはあった。エゴではない、どれも至極真っ当な主張。だからそこには健全な議論が自然と生まれる。そうやって若手などと接しながら、チームを束ねて導いてきたのだろう。口数は多くないものの、発する言葉のメッセージ性が半端なく強い。絶対的に指導者向きだとわたしは思うのだが……。

 
 昨年夏には、引退についても直撃した。どんな境地に至れば、その日は来るのかと。小笠原はこう答えてくれた。

「すごい先ではないよね。どれだけ延ばせるかで、ノープランと言えばノープラン。何歳までやりたいと思ってても、いらないって言われたら終わりの世界だからね。行けるとこまで行きたいってのが本音かな。ボロボロになる前に、スパっとね。目標が達成されたとかじゃなく、もう次に託すときだって感じられたタイミングかもしれない。俺はこのチームが好きだから、ずっとここでプレーしていたい。でもいつかは次にバトンを渡す日が来ると思う。そのときが来たらスパッと辞めるかな。いまはなんとなくそう思う」

 引退を表明したいま、スーパーレジェンドは誰にバトンを託したのだろうか。内田篤人か、西大伍か、鈴木優磨か、それとも──。あえて引退会見でその名を明かす、野暮な小笠原満男ではなかった。

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