ロシア後に繰り広げられた鹿島と昌子源のせめぎ合い…欧州移籍へクラブW杯が見本市に

カテゴリ:Jリーグ

一色伸裕

2018年12月01日

クラブの熱意に、昌子が折れることに「ここに残った最大の理由は…」

ワールドカップではベルギーに悔しい逆転負けを喫した。ショックの大きかった昌子は容易には立ち上がれなかった。写真:滝川敏之(JMPA代表撮影)

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 金崎の移籍が発表される2日前の柏戦(7月22日)後のこと。鈴木満強化部長が記者陣に「(移籍問題は)決着が着いた」と説明した。しかし、昌子は「オファーはある。ゆっくり(鹿島と)話し合って決断したい」と諦めきれない移籍への本音を吐露し、両者の思いは平行線をたどっていた。

 折悪く、7月25日のC大阪戦で左足首を負傷。長期離脱を余儀なくされた。「海外に行きたい」「あのレベルでやりたい」と強い思いを持ち始めた矢先の離脱。海外移籍を容認してもらえない苛立ちに加え、世間から聞こえてくる「サッカーがやりたくないんだろ」「ワールドカップで(集中の)糸が切れちゃったんだな」といった心ない声に、昌子は「俺だってサッカーがしたいんだ。早くピッチに立ちたいんだ」と悔しさを噛みしめる日々が続いた。

 その後も数回にわたり移籍を直訴。しかし、アジア・チャンピオンズリーグ優勝という大きな目標を訴え、慰留に努めたクラブの熱意に、逆に昌子が折れることとなった。鈴木強化部長の「声を出せてリーダーシップのある選手は他にいない。タイトルを取るためにお前が必要。お前に抜けられたら一番困るんだ」という言葉に残留を決断。「クラブへの恩がある。ここに残った最大の理由はACL」とアジア制覇を誓い、それを実現。恩義を重んじる男が、しっかりと約束を果たした。
 
 ACL優勝で強化部の考えも軟化した。加えて、昌子の離脱中に犬飼やチョン・スンヒョンらが活躍。ACL制覇の原動力として奮闘し、鹿島の今後に好材料となったことで、昌子の意思を尊重する構えとなってきた。

 現状ではトゥールーズが濃厚だが、昌子は「まだ何もまとまっていない。これから」と明かす。移籍の見本市となるクラブワールドカップも開催される12月。昌子の進路に再び注目が集まる。

取材・文●一色伸裕(産経新聞社サンケイスポーツ)
 
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