金監督が就任以降、それまでＪ３最高順位が９位だったチームを８位、６位と徐々に上へと押し上げてきた。チームの成長とともにＪ２昇格の機運が高まるなか、17年に経営改善を条件にＪ２クラブライセンスが初めて交付され、道筋が作られた。

　クラブ予算は全54クラブ中52位で、Ｊ３クラブの平均値より約２億円も少ないという状況でありながらも、選手とスタッフ、フロントは沖縄にサッカー文化を根付かせるため自らビラ配りを行なったり、各学校でのスクール、マスコットキャラクター「ジンベーニョ」の露出展開、クラウドファンディングの積極活用など、様々な工夫とチャレンジをし続けたことで老若男女に支持されるようになり、その努力の結集が大きな実を結ぶ形となった。
 
　Ｊ３最速となる３試合を残しての優勝を成し遂げた試合の翌日、地元新聞社２紙は一面でその快挙を大々的に報じ、テレビ局も選手の生出演の依頼でクラブにごった返す。
 
「遠足の前日のような感覚が得られるのがスポーツの醍醐味であるし、それが我々の役割だと思っている」
 
　そう話す金監督は、サッカーが中心となり沖縄が一体となった喜びを噛みしめていた。
 
取材・文●仲本兼進（フリーライター）