才能の灯火をどのようにして大きくするのか?

サッカー界を代表する親子といえば、マルディーニ親子。父チェーザレは幼少期のパオロにサッカーを教えたことはなく、ユース代表時に監督・選手の間柄として指導したのが初めてだったという。 (C) Getty Images
少年時代、その差は大きく見えて、そこまでではないが、健やかに育つことで、周りを圧倒するような選手になっていく。
逆に、幼い段階でちやほやされたり、甘やかされていたりすると、道を見失いやすい。それは、現在進行形で子どもをダメにする場合もあるが、成長してからツケのようにやって来るケースもあるという。不可避に訪れる挫折を乗り越えられないからだ。
逆に、幼い段階でちやほやされたり、甘やかされていたりすると、道を見失いやすい。それは、現在進行形で子どもをダメにする場合もあるが、成長してからツケのようにやって来るケースもあるという。不可避に訪れる挫折を乗り越えられないからだ。
子どもはデリケートである。それゆえに、スカウティングも難しい。だからこそ、ボネット氏も「誰でも分かる才能。自分たちは速く辿り着いただけ」と謙遜していた。才能と巡り会って、それが大成するか――。それは運の要素も大きい。
では、儚いながらも強く輝いている才能の灯火を、どのようにして大きくするのか?
周りはまず、「騒がない」ことだろう。優しく、なおかつ厳しく見守ると言うべきか。ジラと同じような名選手のルポを数多く行なったが、意外なまでに“普通”の親が多かった。英才教育を施していたことを誇る親などいただろうか……。
サッカーというスポーツは、チームメイトやライバルと切磋琢磨し、自ら身につける力の割合が多いのだ。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。