呪われたマルセイユ守備陣にあって、酒井宏樹は仏メディアにどう評価されているのか

カテゴリ:海外日本人

結城麻里

2018年10月04日

2節のニーム戦では2失点に絡んで酷評されるも

ELには2季連続で出場中の酒井だが、CLはいまだ未体験。今季での出場権獲得に意欲を見せる。(C)Getty Images

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 そんななかでも奮起しているのが、日本代表の酒井と18歳のCBカマラだ。
 
 実は酒井も、第2節のニーム戦では2失点の戦犯となった。25年ぶりに昇格してきた挑戦者に翻弄され、「サカイ、カタストロフィック(惨憺的)」と叩かれたのである。
 
 だがその後は調子を上げ、ほぼ完璧な守りを披露。リヨン戦(2-4で敗北)では有名アナリストのピエール・メネースでさえ、『Canal+』の人気番組で「実力通りのプレーを示したサカイを除けば、OMはディフェンス陣全員が悲惨だった」と表現した。
 
 守備のみならず酒井は攻撃面でも積極性を打ち出し、ここまで2アシストを記録。昨季はシーズン全体で1ゴール・3アシストだから、なかなかの滑り出しである。この調子で守備を完璧にこなしながら攻撃でも貢献できれば、さらなる進歩を遂げられるかもしれない。

 
 とはいえ、チームが抱える問題は根深い。減らない失点の原因は複数あるが、真の問題はおそらく中盤にある。グスタボ(CBで出場中)もアンドレ=フランク・ザンボ(移籍)もいなくなった中盤は、ボール奪取力が低下したことでバランスを欠き、守備陣とGKがいとも簡単に危険に晒されてしまう。おまけに、攻撃陣の守備意識も低いときている。
 
 これからいよいよ、秋の正念場を迎える。今季のOMの目標はチャンピオンズ・リーグ出場権の獲得だ。
 
「僕の夢は、このチームとチャンピオンズ・リーグを戦うことです。チームは変わりすぎてもいないし、可能だと思います。僕はできると信じているし、みんなもそう信じているんです」
「普通、アジア人選手は、レベルが高いヨーロッパに来るとあがっちゃうんですよ。でも僕はそれを乗り越えなくちゃ、と思っています」
 
 シーズン開幕前の7月に酒井はこう語っていた。日本人DFは“乗り越え”た。あとはチーム全員が一丸となってCLに突き進めるかどうか。
 
 キャプテンのディミトリ・パイエはリール戦後、「汚れた下着は家に持って帰って洗濯することになる。こういう試合をしたあとは言い合うことがたんまりあると思うからね」と、怖い目つきで宣言した。さらにグスタボも「コレクティブに守備をしなきゃいけないことが分からないなら、まだまだゴールを食らうことになる。OMは他より努力しなくちゃいけないチームなんだ。パリ(・サンジェルマン)でもバルセロナでもないことを理解しなかったら……」と怒りを露にする。
 
 踏ん張り続ける酒井宏樹。はたしてここから、夢の舞台に近づけるだろうか。
 
文●結城麻里
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