「大事な戦力」から「絶対不可欠な存在」へ
「ボックス(ペナルティーエリア)のなかでボールをもらえれば、シュートまでのイメージというのはあったんで、それを見せることができて良かった。攻撃の最後のところで関わる時間や回数が少なかったとしても、今日みたいにひとつのチャンスからゴールをすることができれば、自分としてはすごく良かったし、それを求められていると思います」
「多分、僕のイメージ的には、(自分がいた場所は)真ん中くらいだった。相手が足を出してきて、股間を抜くかなと思ったんですね。GKもブラインドで反応が遅れたし、打ったら何か起こる。ボックス内で足下に止めてシュートモーションに入ったら、DFは難しいと思う。あれはイメージ通りでした」
「多分、僕のイメージ的には、(自分がいた場所は)真ん中くらいだった。相手が足を出してきて、股間を抜くかなと思ったんですね。GKもブラインドで反応が遅れたし、打ったら何か起こる。ボックス内で足下に止めてシュートモーションに入ったら、DFは難しいと思う。あれはイメージ通りでした」
このシーン以外にも、ペナルティーエリア内でパスさえ来れば、というシーンも少なくなかった。相手を外し、うまくスペースに入り込む。その動きはできている。自分を見ろ。自分に出してくれれば決めて見せるから。そのことを、チームメイトにも伝え続けている。
「後半とかは、裏に良いタイミングで抜けたりしてたんですけど、そこにパスが来なかった。味方にも言いましたけど、そういうところで1本もらえれば、仕事ができる自信はあります。そういうところは、こだわっていくべきところだと思います」
チームにとって、大事な戦力なのは間違いない。だが、どんな試合でも不可欠という存在には、まだなれていない。ELでもリーグ戦でも、主力となる選手は出場し続けている。南野が願うのは、そうした絶対的な主軸選手になることだ。
「自分としては、どっちも試合に出たいです。やっぱりフルで稼働したい。絶対的な選手になれるよう、結果を出していかないといけないと思います。自分が攻撃の軸だっていうところを見せないといけない。その自信はあります」
トップ下では、期待の新鋭ハネス・ヴォルフが急成長。マルコ・ローゼ監督からの信頼も厚い。2トップの一枚はイスラエル代表FWムナス・ダブールが当確で、あと1枚を複数選手が競っているのが現状だ。
ザルツブルクのサッカーを一番体現しているのは南野だが、前線の選手に必要なのは、やはり結果。本人も、そこは自覚している。どん欲にゴールを狙い、レギュラーポジションを獲得できるか。一戦一戦が勝負の場だ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。