アジア大会でひと皮剥けたか⁉ 決勝で韓国の”穴”を突いた上田綺世の一発の価値

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2018年09月03日

韓国戦では、A代表の森保ジャパンでもポイントになりそうな要素が見えた

森保ジャパンのシステムは3-4-2-1がベース。守備時の対応がポイントになるが……。写真:早草紀子

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 もっと早くに決まっていれば良かったのに! そう思わなくもないが、とはいえ、このゴールで韓国に冷や汗をかかせたことは、大きな意味がある。世代が上でオーバーエイジを含む韓国とは、明らかな実力の差がありつつも、絶対に勝てない試合ではなかった。粘り強く戦えば、必ずチャンスは来る。それがサッカーの面白いところ。その事実を若い選手たちが実感したのは、貴重な経験だ。
 
 一方、明らかに個の力で優位に立つ韓国にとっては、延長戦にもつれたことが誤算だったはず。なぜ、彼らは90分で勝てなかったのか。
 
 日本の目線から言えば、57分のイ・スンウ投入は有り難かった。この試合だけではないが、日本は守備時に5-4-1にならず、できる限り5-2-3(5-2-2-1)に近い形で守備を保とうとしている。つまり、三好康児、渡辺皓太、松本泰志、岩崎悠人が横一線にならない。2シャドーの三好と岩崎は一段高く、中央寄りだ。
 
 もし、彼らがサイドの深い位置に引っ張られ、ズルズルと5-4-1になると、カウンターや脱出がままならず、押し込まれ続ける。それは避けたいが、しかし、相手にサイドで人数をかけて起点を作られると、5-2-3を保つのは苦しい。
 
 その意味で助かったのが、イ・スンウ投入だった。韓国の前線4人が中央に固まる傾向が強まった。高い位置を取るSBには、ウイングバックの長沼洋一や杉岡大暉が出て1枚で対応でき、三好と岩崎はそのまま中央寄りで5-2-3に近い形を保てる。すなわち、カウンターに行きやすい。
 
 前半の韓国は、特に左サイドで4番のSBキム・ジンヤを中心に、10番のファン・インボムらが絡み、複数で仕掛けるシーンがあったが、後半はゴリ押しだ。サイドを破ってチャンスメークしても、なかなか得点が生まれないので目先を変えたのかもしれないが、ファン・インボムがボランチに下がり、イ・スンウが投入された57の采配は、むしろ日本にとっては有り難かったように思える。
 
 5-4-1が抱える弱点と、5-2-3を保とうとする守備。この駆け引きは、A代表の森保ジャパンでも、今後のポイントになるかもしれない。
 
文●清水英斗(サッカーライター)
 
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